建築基準法施行令では、居室の天井高さは原則2.1m以上とされています。
しかし、学校の教室については、かつては「3m以上」とする厳しい基準が設けられていました。
この背景には、教室の空気環境や採光、児童・生徒の健康への配慮があります。
実際、明治期から「3m以上」とする考え方が示され、その後も長く踏襲されてきました。
ところが、時代の変化とともに、この基準の見直しが検討されるようになります。
文部科学省は、天井高さを3.0m・2.7m・2.4mと変えた教室で実測調査を行い、環境や心理面への影響を検証しました。
その結果、天井高さの違いによる大きな差は見られず、むしろ2.7m程度でも十分な環境が確保できることが分かりました。
引用:教室等の室内環境の在り方について(天井高さを中心として)[第2章]-文部科学省
実測調査で分かった「高さと環境の関係」
また、近年では換気設備や照明性能の向上により、従来よりも良好な室内環境を確保しやすくなっています。
さらに、学級規模の縮小により、一人当たりの空間も広くなっていることから、「高さだけで環境を確保する必要性」は相対的に小さくなっていきました。
こうした検討を踏まえ、2005年には「教室は3m以上」とする規定が廃止され、現在は一般の建築物と同様に扱われるようになっています。
実務的には、この改正の影響は大きく、階高を抑えやすくなったことで建物全体の高さをコントロールしやすくなりました。
例えば、第一種低層住居専用地域では絶対高さ制限への対応がしやすくなり、日影規制のある地域でも計画の自由度が高まっています。
一見すると小さな基準変更ですが、建築計画全体に影響する、実は重要な改正の一つといえます。

