
「大規模の修繕」と「大規模の模様替」って何?
どう違うの?
リフォーム工事を予定してるけど、それって該当するのかな?
技術的助言が出たって聞いたけど本当?
この疑問をスッキリ解決!
💡ズバリ、結論はこちら!
大規模の修繕とは「同じ材料」で主要構造部の過半を元どおりにすること
大規模の模様替とは「新しい材料」で主要構造部を作り直すこと
ここで言う主要構造部は「防火的に重要」な部分を指します
「大規模の修繕」と「大規模の模様替」のどちらかに該当すれば、確認申請が必要になることも
リフォーム工事については、国土交通省作成のスライドが参考になる!



この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人


元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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大規模の修繕、大規模の模様替の定義とは?
大規模の修繕とは「同じ材料」で主要構造部の過半を復旧すること
(修繕とは、位置・形・材料をほぼそのままで、性能や品質を元に戻す工事)
大規模の模様替とは「新しい材料」で主要構造部を作り直すこと
(模様替とは、異なる材料や仕様で性能や品質を回復する工事)



文字だけだと、なんだかイメージができません



簡単にまとめると、「同じ材料」か「新しい材料」かってことです
ポイントは「主要構造部」かどうか、そこに手を加えるかで、判断は大きく変わります
主要構造部ってどんな部分?
主要構造部とは、壁、柱、床(最下階の床を除く)、はり、屋根、階段
構造ではなく、「火災から守る」ために重要な部分のこと



主要構造部って、てっきり建物の構造のことかと思ってました。



「主要構造部」は、いわゆる防火上の重要部材を指します。
建物の構造を支える部材は、「構造耐力上主要な部分」と呼ばれます。
名前のとおり、強度や安定性に関わる重要な部分です。
一部は同じですが、定義も役割も別ものなので、混同しないようにしましょう。
建築法規でよく出る2つの“主要部分”を比較!
| 主要構造部 (防火上の観点) | 構造耐力上主要な部分 (荷重や地震から支える構造の観点) |
|---|---|
| 壁 柱 はり 屋根 階段 | 基礎 基礎杭 壁 柱 小屋組 土台 斜材(筋かい、火打材) 床版 屋根版 横架材(はり、けた) |
柱と梁は、両方の定義に該当します。
基礎は構造耐力上主要な部分ですが、主要構造部には該当しません。
ブレースは、地震力を負担するため構造耐力上主要な部分に該当。
鉛直力(建物の重さ)を支えるブレースの場合は主要構造部にも該当しますが、そうしたケースは少数です。
※通常は地震力のみ負担する設計としています



こんなにあるんですか?一度じゃ覚えきれないです…



全部覚える必要はありません。
大事なのは「こういう分類がある」と知っておくこと。
実務では、その都度、条文を確認すれば大丈夫です。
「一つの主要構造部で過半に達する」とはどういう意味?
一つの主要構造部を、建物全体の50%を超える範囲で工事することを指します。
つまり「どの構造部を、どれだけ直すのか」で判断が分かれるということです。



言葉だけじゃピンと来ないので、例で見てみましょう!
①屋根がボロボロなので、全部直したい
建物全体の屋根の面積の「半分超」なら、大規模修繕・模様替に該当します。
②外壁の一面だけボロボロなので、そこだけ直したい
4面のうち1面だけなら「過半未満」。大規模には該当しません。
③シロアリで一階の柱だけやられたから、そこだけ直したい
全体の柱の本数の半分を超えなければ、大規模にはあたりません。
実務に効く!事例で見る「修繕」と「模様替」



このあと、よくある事例をもとに『修繕』か『模様替え』かを整理していきます。
材料の変更や工事範囲がポイントです!
これは修繕にあたる例
金属屋根を、同じ素材で葺き直す
外壁サイディングを、同じ材質でそのまま張り替える
これは模様替になる例
スレート屋根をガルバリウム鋼板に変更する
木製階段を鉄骨階段に変える
木の柱を鉄骨柱に交換する
過半(大規模)とみなすかの基準
| 建築物の部位 | 基準 |
|---|---|
| 壁 | 総面積に占める割合 (全体の面積のうち、工事対象の割合) |
| 柱 | 総本数に対する割合 (全本数のうち、交換する本数の割合) |
| 梁 | 総本数に占める割合 (全本数のうち、交換する本数の割合) |
| 床 | 水平投影面積に占める割合 (水平投影面積に占める工事範囲の割合) |
| 屋根 | 水平投影面積に占める割合 (水平投影面積に占める工事範囲の割合 |
| 階段 | 階ごとの総数に占める割合 |
大規模の修繕・模様替えに該当したらどうなる?
大規模の修繕・模様替えに該当すると、原則として確認申請が必要になります。
ただし、「3号建築物(平屋+200㎡以下)」に限っては、申請は不要です。



えっ、大規模に該当すると、そんなに大ごとなの?
申請が必要だと、工期もコストも変わってきます!



大規模の修繕・模様替えに該当すると、確認申請が必要になります。
確認申請には時間がかかり、図面が無ければ復元も必要。
検査済証が無いと手続きがさらに複雑になり、かなりの労力になります。
だからこそ、申請不要の範囲で工事を進めるのが一般的です。
確認申請が必要になる建築物をチェック
| 法第6条第1項に 規定する建築物 | 階数・面積 | 大規模の修繕・模様替に該当した場合 |
|---|---|---|
| 1号建築物 | ・特殊建築物 かつ ・当該部分の面積が200㎡超 | 確認申請が必要 |
| 2号建築物 | ・階数2以上 又は ・延べ面積200㎡超 | 確認申請が必要 |
| 3号建築物 | ・平家 かつ ・延べ面積200㎡以下 | 不要でOK |



木造の2階建て・3階建て住宅は、2号建築物に該当します。
そのため、大規模の修繕や模様替えに当たる場合は、確認申請が必要です。
一方で、3号建築物(平屋かつ200㎡以下)は確認申請は不要になります。
しかし実際にはあまり見かけないため、ほとんどの建物は1号または2号に分類されます。
見落とし厳禁!判断の拠り所になる資料まとめ
「技術的助言」や「国土交通省作成のスライド」があります。
これらを参考にしながら、工事の内容や規模を丁寧に検討することをおすすめします。



これまでは、以前は判断基準が十分に整理されておらず、対応が分かれることもありました。
設計者としても、確認申請の要否に関する回答にモヤモヤした経験があるかもしれません。
しかし現在は、「技術的助言」や「国土交通省の解説スライド」が整備され、多くのケースで判断がつくようになりました。
※資料に記載のないケースでは、行政庁の判断が分かれることがあります。そのため、国交省資料に沿って検討するのが確実です。
①国土交通省の解説スライド(大規模リフォームの解説付き)
引用:令和7年1月 国土交通省 木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続について 技術的助言よりもさらに詳しく、実務で役立つ具体例が多く掲載されています。
国交省資料が整理されたことで、判断基準が共有されやすくなりました。
②技術的助言(壁・減築・構造耐力に関する判断)
引用:国土交通省 既存建築物の増築等に係る建築基準法上の取扱いについて(技術的助言) 主要構造部に該当する壁の判断や、減築、構造耐力上の危険性を増大させない大規模修繕・模様替えについて明確に示されています。
実務者必見の助言です。
③技術的助言(屋根ふき材・カバー工法の明確化)
引用:国土交通省 屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて 屋根ふき材のみの交換や、カバー工法については、大規模の修繕・模様替えには該当しないと明記されています。
誤解の多い部分なので、確認必須です。引用:国土交通省 屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについての別添資料 技術的助言と合わせて、図解資料も公開されており、視覚的に判断しやすくなっています。
④技術的助言(床・階段の改修の留意点)
引用:国土交通省 床及び階段の改修に係る設計・施工上の留意事項について 床や階段の改修が対象となる場合の、設計・施工時の留意点が整理されています。
該当する部材が多いので、しっかり目を通しておきましょう。
これで解決!よくある「大規模の修繕・模様替」の疑問集
行政に携わった経験を踏まえて



昔の建物で図面が一切ないんですが、申請できますか?



図面がない場合は、まず現況図を作成してもらう必要があります。
ここで注意すべきなのは、現況図を起こした結果、違反建築物と判明するケースです。
その場合は違反部分の是正が求められ、いつ・どのように改修するかを特定行政庁(または指定確認検査機関)と協議する必要があります。
結果として、工事費が増えたり、申請期間が大幅に延びる可能性があります。
まとめ
大規模の修繕とは「同じ材料」で主要構造部の過半を元どおりにすること
大規模の模様替とは「新しい材料」で主要構造部を作り直すこと
大規模の修繕・模様替えに該当するかの判断には、国交省の資料が非常に有効
判断に迷ったら、まず技術的助言と国交省のスライドをチェック
判断に迷う場合は、掲載されている事例と照らし合わせて慎重に判断を
元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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