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【図説】仮使用って何?認定基準や建て替え時の注意点をわかりやすく解説!

仮使用って何?認定基準や建て替え時の注意点をわかりやすく解説!

古くなった建物を、同じ敷地で建て替えたいんです

でも引っ越しが必要で、少しの間だけ旧建物と新しい建物を両方使いたい

ただ、建ぺい率や斜線制限の関係で敷地分割はできません

この場合、仮使用認定を受ければ引っ越ししながら建て替えできますか?

この疑問をスッキリ解決!

💡ズバリ、結論はこちら!

敷地内で建て替える場合、原則として既存建築物を取り壊し、完了検査を受けてからでないと新しい建物は使えない

ただし、仮使用認定を受ければ、既存建築物を除却する前でも新築建築物を使用することができる

この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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この記事の流れ

仮使用とは?工事が終わる前でも使える特別な制度

建築基準法では、建築物を使うには工事完了後に完了検査を受け、検査済証が交付されてからでないと使用できない

しかし、同じ敷地内で建て替える場合に、「新しい建築物に引っ越しをしてから既存建築物を除却したいとき」や、「建築物の一部のフロアだけ先に使いたい」ときもあるかと思います

そのような場合に、検査済証の交付を受ける前に使用を認める制度が「仮使用認定」

建て替えをしたいんですが、先に既存建築物を壊すと引っ越しができません。

「既存建築物を除却」として新築の確認申請を出している場合、完了検査のときにまだ既存建築物が残っていたら、検査済証ってもらえないんですよね?

新築の確認申請を出している場合、既存建築物を除却しないと完了検査は受けられません。

もし、既存建築物を壊す前に新しい建築物を使いたいなら、仮使用認定が必要です。

この記事では、「どんなときに仮使用認定が必要か」や、「新築と増築のどちらで申請すべきか」を図説で解説します。

建て替え時に仮使用認定が必要になるケース

ここでは、建て替えを行うときの全体の流れを解説します。

実際の工程に沿って、仮使用認定を受けるタイミングや注意点を分かりやすく紹介します。

敷地分割ができないので、この流れで建て替えを進めたいです。

引っ越しの関係で、既存建築物を壊す前に新しい建築物を使いたいです。

既存建築物を「除却」として確認申請を出している場合、やはり仮使用認定が必要ですか?

これは仮使用認定が必要になる一般的なケースです。

この状況では、仮使用認定を受ける必要があります。

次のセクションで、認定の基準と手続きの流れを説明します。

建て替えの時、工事種別は新築と増築のどちらになりますか?

既存建築物を除却したあとに完了検査を受ける場合は「新築」です。
逆に、除却する前に完了検査を受ける場合は「増築」扱いになります。
どちらで申請するかは設計者が決めることができますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
今回のケースは「既存建築物を除却したあとに完了検査を受ける」ため、工事種別は「新築」となります。

『新築申請』のメリット・デメリットまとめ

メリットデメリット
既存建築物の調査が不要
既存遡及の検討が不要
仮使用認定の手続きが必要
仮使用認定が下りないと、引っ越しができない

『増築申請』のメリット・デメリットまとめ

メリットデメリット
仮使用認定の手続きが不要既存建築物の調査や遡及の確認が必要で、場合によっては適法にするための工事が必要になることもある
既存建築物があるため建蔽率・容積率などの集団規定に余裕がないと抵触する恐れがある
敷地が狭いと、既存建築物の避難経路や採光の確保が難しくなる場合もある
新築申請と増築申請、どちらがお勧めですか?

どちらにもメリット・デメリットがあります。
工事の工程や仮使用の範囲によって判断が変わるため、一概には言えません。
ただし、増築申請の場合、既存建築物の調査や遡及工事を行っても最終的には完了検査後に除却することになります。
そのため、実務では仮使用認定を選ぶケースが多い印象です。

敷地を分割で対応することはできますか?

敷地を分割できる場合は、一般的には最もスムーズに進む方法です。この場合、申請種別はもちろん「新築」となります。

『敷地分割』のメリット・デメリットまとめ

敷地分割のメリット敷地分割のデメリット
仮使用認定の手続きが不要
新築の確認申請となり、既存建築物は別敷地として扱われるため、既存建築物の調査や遡及の検討を行う必要がない
敷地に十分な広さがないと、敷地分割自体が難しい

既存建築物を除却するまでは、その建築物が法律上、適法な状態を保っている必要があります。
そのため、除却までの一時的な期間であっても、最低限の適法性を確認する目的で、集団規定や避難経路の適法性を確認するために、敷地分割に関する12条5項の手続きを求める行政庁も稀にあるようです。

仮使用の認定基準とは?どんな条件を満たせば認められる?

指定確認検査機関や建築主事による仮使用認定の基準は、平成27年国土交通省告示第247号第1および第3に定められている

概要としては、建築物が建築基準関係規定に適合していること、敷地内に安全な通路が確保されていること、既存部分と防火区画によって区分されていることなどが示されている

平成27年告示第247号 第1・第3に定められた認定基準を見てみよう

条文の説明では、内容のイメージが湧きにくいです。

実際のケースと照らして考えたいです。

そこで、先ほどの仮使用認定の事例をもとに、基準告示(平成27年告示第247号)をQA形式で整理しました。

具体的な場面を想定して読むと理解しやすいので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

条文だけでは分かりづらい部分も、実例を通じてスッと理解できると思います。

この事例は、基準告示のどの部分を見ればいいですか?

該当するのは、基準告示第1第3項第2号です。仮使用認定の根拠となる条文の中でも、実務で最もよく参照される箇所です。

工事している場所と、仮使用している部分の間には仮囲いが必要ですか?

必要です。仮使用部分を利用する人と、工事作業者の動線を明確に分ける必要があります。そのため、基準告示第1第3項第2号ニに基づき、STEP2のように仮囲いを設けることが求められます。利用者の安全を確保し、工事エリアとの混在を防ぐのが目的です。

仮囲いはどんな形で設ければいいですか?Bバリ(バリケード)でも大丈夫ですか?

原則として、高さ3m以上の鋼板などによるしっかりした区画が必要です。
Bバリは高さ・強度ともに不足する場合が多く、仮囲いとしては認められないケースが多いです。
ただし、設置位置や工事箇所の状況によって判断が異なるため、最終的には認定申請先に相談することをおすすめします。

仮使用部分から道路まで、避難経路は必要?

政令第127条から第128条の2に適合する敷地内通路を確保する必要があります(基準告示第1第3項第2号ニ)。
敷地内通路は有効幅員を確保しなければならないため、仮囲いで通路が狭くなるような配置や、駐車場と避難経路が重なるような計画は認められません。
避難時に支障が出ないよう、通路幅と経路の安全性を十分に確保することが重要です。

既存建築物と新築建築物が一時的に両方ある状態だと、一時的ですが建蔽率や採光の基準を満たしていません。
それでも仮使用認定を受けられるのでしょうか?

基準告示第1第3項第2号ホにより、やむを得ないと認められる場合は、既存建築物の除却が完了するまでの間、集団規定や採光などの一部の規定については適合していなくても差し支えないとされています。
ただし、非常用進入口や排煙設備など、安全上重要な部分は確実に確保する必要があります。
具体的な対象範囲は基準告示第1第3項第2号ホを確認することをお勧めします。

基準告示には防火区画が必要とありますが、別棟で建て替える場合も必要ですか?

別棟で建て替える場合は、もちろん防火区画を設ける必要はありません。
防火区画が必要になるのは、主に次のようなケースが考えられます。

・既存建築物に増築する場合:既存部分(避難施設などの工事を含まない)と、増築部分(仮使用部分)の間を防火区画で区切る
※既存部分に避難施設などの工事を含む場合は、特定行政庁への申請となるため、基準告示がそのまま認定基準となるわけではありません。

・同一建築物内で、工事が完了した部分を先に使用する場合:工事中の部分と、工事完了部分(仮使用部分)の間を防火区画で区切る

よくある誤解や疑問にズバリ答えます!

現場でよく聞かれる疑問を、行政実務や審査の視点でシンプルにお答えします。

一体増築を予定しています。増築部分は仮使用しない予定ですが、既存部分で仮使用申請が必要になることはありますか?

既存部分に避難施設などの工事を含む場合は、その既存部分について仮使用認定が必要になります。
このケースでは、指定確認検査機関では認定を行えないため、特定行政庁に直接相談して手続きを進めることになります。

仮使用の認定申請は、どこに提出すればいいですか?

仮使用の認定申請先は、次の3つのいずれかになります。
特定行政庁
建築主事(基準告示に適合する場合のみ)
指定確認検査機関(基準告示に適合する場合のみ)
一般的には、基準告示に適合するかどうかで提出先が変わります。

確認申請を指定確認検査機関に出した場合でも、建築主事に仮使用の認定申請はできますか?
逆に、建築主事に確認申請を出して、指定確認検査機関に認定申請を出すこともできますか?

可能です。
確認申請と仮使用認定申請は、別々の提出先に出すことができます。
ただし、実務上は手続きの一貫性や調整のしやすさを考慮して、同じ提出先にそろえるのが一般的です。別々に出すメリットはほとんどありません。

どんな場合に特定行政庁へ仮使用認定を申請することになりますか?

指定確認検査機関や建築主事で認定を行えない場合は、特定行政庁に仮使用認定を申請することになります。具体的には、既存部分に避難施設などの工事を含む場合や、基準告示に適合しない場合が該当します。指定確認検査機関で受付できないケースでは、特定行政庁に相談・申請する流れとなります。
ただし、申請すれば必ず認定されるわけではないため、事前に相談をしておくことが大切です。

指定確認検査機関や特定行政庁に事前相談するとき、どんな資料を持っていけばいいですか?

事前相談では、以下の図面や資料を準備しておくとスムーズに進みます。
案内図
配置図平面図(仮使用範囲を明示)
工事工程表(仮使用期間を明示)
全体ステップ図(ローリング計画)
なお、工事工程表・仮使用時期・仮使用範囲の整合は必須です。
これらの資料が揃っていると、相談先での説明や判断がスムーズになります。

行政に携わった経験を踏まえて

ここでは、行政実務に携わった経験をふまえ、現場で得られた知見や気づきをご紹介します。

特定行政庁に仮使用認定を申請する場合、何か明確な基準はあるのでしょうか?

特定行政庁ごとに独自の認定基準を設けている場合は、それに従うことになります。

ただし、基準を明確に定めて公開している行政庁はほとんどありません。

多くのケースでは、個別判断で対応しているのが実情です。
一般的には、昭和53年建設省通達「承認基準」(引用:藤沢市HP)を参考に、次の観点から安全性・防火性・避難性に支障がないか総合的に判断されます。


①仮使用部分とその他の部分が明確に区画されていること
②仮使用部分が最低限の安全性を備えていること
③工事部分の安全対策が十分に講じられていること
(①~③の引用:『工事中建築物の仮使用認定手続きマニュアル』P.80)

引用:大阪府内建築行政連絡協議会 指定確認検査機関等による
工事中建築物の仮使用認定手続き要領

一部の行政庁では、「仮使用認定の手続き要領」という形で手続きに関する要領を公開している例もあります。

参考になる資料や技術的助言はありますか?

まとめ

仮使用認定は、完了検査前でも一部の建築物を使用できる制度で、引っ越しや業務継続を円滑に進めるために活用される。

認定には、通路の確保・防火区画・安全対策など、基準告示第247号で定められた条件を満たす必要がある。

基準に適合すれば建築主事や指定確認検査機関で申請できるが、既存部分を含む場合などは特定行政庁への申請が必要。

実務では、工事計画や安全確保を十分に検討し、早めに相談しておくことがスムーズな認定取得に

この記事を書いた人
ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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