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建築基準法12条5項って何を報告?行政が“求める報告”の正体とは?行政視点で解説してみた!

建築基準法12条5項って何を報告?行政が“求める報告”の正体とは?行政視点で解説してみた!

行政庁から「12条5項の報告書を出して」と言われたけど…

それって何?

どんな書類や図面が必要なの?

この疑問をスッキリ解決!

💡ズバリ、結論はこちら!

建築基準法12条5項では、行政庁が「必要に応じて報告を求めることができる」とされています。

つまり、報告の提出は「求められたら対応する」制度です。

建築主や設計者が自主的に「出したい」と言っても、提出できるような制度ではありません(行政庁からの求めがあって初めて提出するものです)

行政庁は何らかの確認目的をもって、この条文を根拠に報告書を求めています。

添付すべき書類は、その目的に応じて異なります。

この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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この記事の流れ

そもそも12条5項って何?役割と目的をかんたん整理

建築基準法12条5項は、行政庁が特定の建築物・関係者に対して「報告を求めることができる」制度です。

一般的に通報や現地確認で違反の可能性があるときや、安全確保が必要と判断された場合に使われることがあります。

あわせて、既存建築物の適法性を確認する際にも活用される制度です。

そのため、「必要に応じて求められる」制度という点がポイントです。

12条5項って、「届出」の制度だと思ってました。

まさか「報告」とは別物なんですか?

繰り返しになりますが、12条5項は「報告を求めることができる制度」です。

行政庁の職員から「12条5項で出してほしい」と言われたら、「法12条5項に基づき報告を求めます」という意味になります。

でも、何の報告?何を出せばいい?

そう感じる方も多いと思いますので、後ほど詳しくご説明します。

建築基準法12条5項の原文を確認してみよう!

(報告、検査等)
第12条

5 特定行政庁、建築主事等又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる。
 一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
 二 第77条の21第1項の指定確認検査機関
 三 第77条の35の5第1項の指定構造計算適合性判定機関

誰が対象?どんな場面で報告を求められる?

報告を求められるのは、所有者・管理者・占有者などの関係者です。

違反の可能性があるときや、近隣から相談や情報提供があったときに使われるケースがあります。

また、既存建築物に検査済証がなく、増築する場合なども使われる制度です。

近隣からの通報や違反の疑いがあると、この報告を求められるんですね。

行政庁が「図面を出してください」と言っても、建築主に「提出義務はない」と返されると、それ以上言えません。

そこで、建築基準法では12条5項という「報告要求権」が行政庁に付与されています(引用:詳解建築基準法 改訂版))

これは、法の施行を確実にするための仕組みです。

報告は誰が出すの?
法文では、所有者・管理者などと書かれてますが、この中から自分で決めていい?

報告者は行政庁が指定します。建築主や設計者が選択することはできないとされています。
なお、多くの場合、建築主や所有者が報告者になります。

報告書、出したくない…出さなくてもいいの?

提出しない場合、罰則の対象となる可能性があるとされています。
期限に間に合わないときは、必ず事前に行政庁へ相談しましょう。
無断で遅れると、印象も対応も厳しくなります。
たとえば違反指導の場面で12条5項の報告を求められた場合、確認申請とは異なり、裁量は行政庁にあります。
そのため慎重な対応が必要です。

12条5項の報告書を設計者として作成します。
注意すべきポイントは?

まず、報告を求められた理由を把握することをおすすめします。
次に、行政庁に図面の書き込みの詳細レベルを確認します。
「法適合が分かる図面を出してください」とだけ言われる場合も多いです。
そのときは、何を重点的に検討すべきか判断する必要があります。
たとえば「建蔽率が違反では?」という通報があれば、建蔽率・容積率・斜線制限など、集団規定を丁寧に書き込みましょう。
建蔽率だけで済ませると、説得力に欠ける場合があります。
「設計者が違反の可能性をしっかり検討していますよ」と伝えるには、図面全体の完成度が鍵です。
ただし、「そんなに書かなくていい」と言われることもあるので、事前に行政と調整しましょう。

報告内容は?何を提出すればOK?

報告書や図面で「法に適合しているか」を示す必要があります。

対象は、建築物や敷地が集団規定・単体規定・構造・設備が建築基準法に適合しているかどうか。

行政庁は、法適合性の確認に必要な範囲で、状況や図面の報告を求めます。

違反がないか、安全かどうかを判断するための情報が求められます。

場合によっては、図面・書面・写真の提出も必要です。

敷地や建物のことも、すべて報告の対象になるんですね

条文はかなり広く報告を求められる内容になっています。

抜け道を防ぐため、あえて幅を持たせた条文構成です。

ただし、実際にどの範囲まで報告を求めるかは、行政庁の判断に委ねられます。

なぜ求められる?報告の理由と対応方針をチェック!

求められた理由なにを報告?
容積率・建蔽率の違いが疑われる容積率・建蔽率が適法であることの確認
無確認でカーポートを設置屋根の不燃性、基礎の仕様が告示通りか
既存建築物に検査済証がないまま増築を計画集団規定・単体規定・構造規定への適合状況
敷地分割の予定分割後も既存建物が法に適合しているか(容積率・建蔽率など)
確認申請なしで増築した建築基準法への適合状況の報告(規模により内容は変動)
※物置レベルなら集団規定・基礎の確認が中心となるケースが多い
引用:東京都 建築基準法第12条第5項の規定による報告書

報告書には様式がありますが、提出が求められる内容はケースごとに異なります。このため、様式1枚だけで足りず、添付書類などの形式も行政庁の指示によって決まります。あくまで決まっているのは、報告書の表紙の様式のみです。

12条5項の報告を求められたときの対応は?

まずは報告を求められた理由・提出期限・必要書類を確認しましょう

必要書類の準備や現地確認を行い、期限内に提出することが大切です

不明点があれば早めに行政庁へ相談しましょう

はじめて12条5項の報告を求められて、不安です。

どんな書類を出せばいいのか分かりません。

報告を求められるのは、たいてい突然です。

時間がない中で書類を準備することも多いです。

ポイントは「なぜ報告を求められたのか」。

その理由で、図面の種類や書き込み量が大きく変わります。

たとえば建蔽率違反の疑いなら、平面図や求積図だけで済むことも。

一方で、大きな増築の無確認なら、平・立・断面図や構造図、避難規定・耐火要求・防火区画まで含めたチェックが必要になります。

報告を求められる理由と想定される必要書類の整理!

報告の理由一般的な必要書類
容積率・建蔽率が違反していないか確認が必要なとき平面図・立面図・求積図
無確認でカーポートを設置したとき平面図・立面図・屋根の不燃材料あか(22条区域内のとき)・基礎の図面
既存建物の検査済証がない状態で増築を計画平面図・立面図・断面図・構造計算書
※図面の記載内容は、確認申請と同程度の書き込みが求められます

敷地を分割したいとき
配置図・平面図・求積図
確認申請を出さずに増築してしまったとき平面図・立面図・断面図・構造計算書

行政現場では?報告が求められる一般的なパターン

報告が求められるのは、近隣からの相談や問い合わせをきっかけに行われる場合もあります

例えば、増築や用途の扱いに関して疑問が寄せられた場合、行政庁が調査を行うこともあるとされています

そういうことって身近でも起こるのかな

建築に関する相談や問い合わせは、近隣から寄せられることもあります。
その内容は、増築や用途の扱いなど、さまざまです。
実際の対応は行政庁によって異なり、必要に応じて確認が行われることもあるようです。

きっかけは、どういう場合が多いですか?

主なきっかけは、一般的には次のようなケースに分類されるようです

近隣住民からの通報(既存建築物の適法性の報告)

敷地内で建築計画があり、確認申請が必要になった場合
 (既存建築物の適法性・既存不適格の報告)

立入検査(防災週間、風営法違反の調査、類似施設での火災など)

確認申請における軽微な変更

既存不適格調書の提出時

報告を求められるケースは本当にさまざまです。

既存建築物の適法性・通報対応・増築前の確認など、内容に応じて対応も変わります。

既存建築物の12条5項報告が必要とは?

増築をするなら、既存建築物に検査済証がない場合、12条5項に基づいて「現行法に適合しているか」の報告が必要です

検査済証があっても、既存不適格の有無を確認するために報告を求められることもあります

うち、昔に建てた家なんだけど…

増築するときって、何か報告しなきゃいけないの?

検査済証がない既存建築物は、増築前に「法に適合してるか」の報告が必要です。

たとえ検査済証があっても、既存不適格の有無を確認するため、報告を求められることもあります。

STEP
増築の建築計画
STEP
検査済証がない
STEP
既存建築物の適法性が不明
STEP
12条5項の報告により適法性を証明
STEP
適法性を前提に増築の確認申請へ
引用:国土交通省 既存建築物の現況調査ガイドライン 概要

既存建築物の調査を行う際は、上記URLに掲載された資料を一読することをおすすめします。特に「現況調査ガイドライン(第2版)」、「緩和措置の解説集(第2版)」、「技術的助言」は、これまでにない実務的な資料です。国土交通省が初めて体系的に整備した内容で、非常に参考になります。

行政に携わった経験を踏まえて

ここでは、行政実務に携わった経験をふまえ、現場で得られた知見や気づきをご紹介します。

12条5項の報告書って、行政庁に出せばいいんですか?

12条5項による報告を求めることができるのは行政庁だけです。

したがって、求めてきた行政庁に報告書を提出してください。

注意が必要なのは、指定確認検査機関から「既存建築物の法適合性や、既存不適格の有無が確認できる図面や調書を提出してください」と指示される場合です。

この場合は、指定確認検査機関に対して提出します。

ただし、これは12条5項に基づくものではなく、一般的には確認申請手続きに関連する提出です。

12条5項の報告要求権は、行政庁にのみ認められている制度です。

法律は読んだけど、現場ではどう運用されてるの?

もっと具体的に知りたいな。

報告のケースはバラバラで、添付書類も違います。

しかも運用は行政庁によってまちまち。

たいてい、ホームページにも載っていないため、事前に知ることは困難で、さらに実際の対応は読みづらいです。

既存建築物に違反がないって、行政庁からお墨付きがほしいんです。

こっちから12条5項を提出してもいいんでしょうか?

12条5項は「行政庁が求めたときに出す」制度なんです。

建築主や設計者が自主的に提出できる制度ではなく、行政庁から求められたときに出す制度です。

そこは誤解しやすいので要注意です。

既存建築物の適法性や、既存不適格の確認で、こんなに古い建物でも報告が必要なの?

図面はないし、どうやって調べればいいのか…

既存建築物については審査側でも迷うことがあるようです。

制度はあっても、判断が難しいケースも少なくありません。

でも最近は、国交省のガイドラインで、少しずつ対応が統一されてきた印象です。

まとめ

12条5項は、行政庁が法適合性の報告を求める制度

対象や提出物は、通報の内容や指導方針により異なる

提出期限や求められた理由の把握がまず重要

既存不適格の有無を確認するために用いられることもある

不明点は必ず行政庁に確認し、丁寧に対応を

この記事を書いた人
ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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