
延焼ラインってどういう意味?
「延焼のおそれのある部分」とは違うの?
ラインにかかると、どう対策すればいいの?
この疑問をスッキリ解決!
💡ズバリ、結論はこちら!
延焼ラインとは、隣の建物からの火災によって直接火が燃え移ったり、熱の影響を受けやすい範囲のこと
この範囲に建物がかかると、防火構造や防火設備などの対策が必要になる
特に開口部(窓や扉)には、防火設備などの設置が求められる



この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人


元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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延焼ラインってなに?
『延焼のおそれのある部分』とは、周囲から火が燃え移る可能性がある範囲のことをいいます
実務では「延焼ライン」と略称で呼ばれています



火が隣に広がらないようにする規定なんですね



そのとおりです。
もう少し正確に言うと、「火災を直接受けたり、火災の輻射を受けて隣の建築物が燃えない限度」の位置が延焼ラインとされています。



延焼ラインと「延焼のおそれのある部分」って同じことですか?



法律では「延焼のおそれのある部分」と言いますが、長いので多くの人が「延焼ライン」と呼んでいます。
実質的にはほぼ同じ意味で使われているため、あまり気にする必要はありません。
延焼ラインってどこの範囲?
延焼ラインは、以下のいずれかの線から測って1階なら3m以内、2階以上なら5m以内の範囲が対象になります
・隣地境界線
・道路の中心線
・同一敷地内で延べ面積500㎡を超える建物同士なら、その外壁中心線







2階のほうが距離が広いんですね。



火は上に向かって広がる性質があります。そのため上階ほど延焼のリスクが高まります。
だから延焼のおそれのある部分は2階以上が5m、1階は3mとされています。
※「延焼限界曲線」という放物線があり、その外側は火の熱の影響を受けにくいとされています。この考え方は市街地建築物法の時代から使われていて、現在の「延焼ライン」の3m・5mの根拠になっています。
延焼ラインに建物がかかるとどうなる?
建物が延焼ラインにかかると、防火設備の設置や外壁の防火構造などが必要になります



延焼ラインの中にも建物って建てられるんですか?



がけ条例とがけ条例のように“建築不可”になるわけではなく、建てること自体は可能です。
ただし、窓などの開口部には防火設備が必要など、一定の防火に関する規制がかかるので注意が必要です。



そもそも延焼ラインって規制ですか?
防火に関する規制ってどんな内容?



延焼ライン自体は、火災時に熱の影響を受ける範囲を定義しただけで、規制そのものではありません。
まず「防火・準防火地域・22条区域かどうか」・「耐火・準耐火建築物か」などを確認し、そのうえで「延焼ライン内かどうか」で防火の対策が必要か判断します。
規制内容が多いので、代表的なものを表にまとめて紹介します。
| 地域別 | 延焼ライン内で必要な防火対策 |
|---|---|
| 22条・23条区域 | 木造建築物の場合、外壁を防火構造 |
| 防火・準防火地域 | 開口部を防火設備 木造建築物の場合、軒裏を防火構造 |
| 構造 | 延焼ライン内で必要な防火対策 |
|---|---|
| 耐火建築物 | 開口部を防火設備 |
| 準耐火建築物 | 開口部を防火設備 |



ざっくり言えば上のとおりです。
ただし建物の階数や面積、22条区域・防火・準防火地域によって規制が変わるので、最終的には法文での確認が必要です。
同一敷地に2棟以上あるときの延焼ラインは?
1つの敷地に建物が2つ以上あり、それぞれの床面積を合計して500㎡を超える場合は、外壁同士の中心線から延焼ラインが設定される
つまり、同じ敷地内でも防火対策が必要になるケースがある





延焼ラインが出ていない建物もありますね
どういう理由ですか?



延焼ラインが出るのは、2棟の合計床面積が500㎡を超えるときだけです。
図のとおり合計で500㎡を超えなければ、延焼ラインは発生しません。
500㎡以下のグループを複数に分けられる場合は?





500㎡以下のグループを複数に分けられる場合は、どの組み合わせを延焼ラインの対象とするかは実は設計者が自由に選べます。




附属建築物にも延焼ラインはかかる?
次のような附属建築物は、主要構造部が不燃材料でできていれば延焼ラインは本体の建物に及びません。
ポンプ室
自転車置き場
平屋建ての小規模な倉庫、ごみ置き場
受水槽上屋
浄化槽の上屋
附属建築物に開口部がある場合は、防火設備が必要になるので注意
よくある誤解や疑問にズバリ答えます!



現場で本当によく聞かれる疑問を、行政実務の視点でシンプルにお答えします。
行政に携わった経験を踏まえて



建物や敷地が複雑で、延焼ラインがどこになるのか分かりません



敷地や建物が整っていれば、延焼ラインの判断は簡単です。でも複雑な形だと一気に難しくなります。
設計者側で方針を立ててから、事前に確認申請先へ相談しておくのがおすすめです。



延焼ラインが壁の表面だけにかかっています。
壁芯じゃないので、対象外って考えていいですか?



表面だけでも火や熱の影響はあります。そのため延焼ラインには「壁芯かどうか」という考え方はありません。
表面に少しでもかかっていれば、一般的には延焼ラインに入ったと判断します。
不適合となる場合は、配置や設計の再検討が必要になることがあります。
まとめ
延焼ラインとは、火災時に熱や火の影響を受けるおそれのある範囲のこと
建物が延焼ラインにかかると、防火構造や防火設備などが必要になることがある
同一敷地内でも、建物の合計床面積が500㎡を超えると延焼ラインが発生する
元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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