
既存の杭って再利用できる?
建て替えでコストを抑えるために使いたい。
注意点や参考になる資料はある?
この疑問をスッキリ解決!
💡ズバリ、結論はこちら!
既存の杭は再利用が可能
以前はJIS規格への適合を求めるか判断が分かれていましたが、技術的助言により法第37条に適合するものと整理された
具体的な技術的助言やガイドラインが示されているので、審査や設計時の参考になる



この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人


元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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既存杭の再利用とは?
建設コストの削減や工期短縮の観点から、既存杭を活用する方法が注目されている
ただし、建築基準法は現行法の基準を満たす必要があり、既存杭の健全性や構造計算への影響が課題に挙げられている
特に接合部の状態や強度の低減など、安全性を確保するための検討が不可欠と言われている
引用:国土交通省国土技術政策総合研究所
既存杭を含む敷地における建築物の設計指針(案) 一部引用



既存杭を再利用したいと思ったことがあります。
でも既存杭の健全性や注意点が分からず、確認申請先との協議がスムーズに進まないこともありました。



建築基準法では既存杭の再利用が想定されていなかったため、審査側も設計者も悩む場面が多くありました。
ただ、国土交通省から技術的助言が示され、業界や国総研がガイドラインや設計指針を整備したことで、知見が徐々に蓄積されています。
令和以降は、参考にできる資料が大幅に増えてきました。
国土交通省の技術的助言とは?
国土交通省は令和7年4月に技術的助言を公表
この中で、法第37条の取扱いが明確に示された
あわせて、参考となるガイドラインや設計指針も一覧で整理されている
参考:技術的助言の本文
国住指第500号
令和7年4月1日各都道府県
建築行政主務部長股国土交通省住宅局建築指導課長
(公印省略)既存の基礎ぐいの利用について(技術的助言)
近年、建設コストの削減や工期の短縮などのメリットのほか、環境負荷への配慮等を背景として、従前の建築物に使用されていた基礎ぐいを存置させて、建て替え後の建築物の基礎ぐい等の一部として利用する取組が行われている。
このように既存の基礎ぐい(以下「既存ぐい」という。)を利用する場合における建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)第37条の取扱等について、地方自治法(昭和22年法律第67号)第246条の4第1項の規定に基づく技術的助言として、下記のとおり通知する。
貴職におかれては、貴管内特定行政庁及び貴都道府県知事指定の指定確認検査機関に対しても、 この旨周知方お願いする。
なお、国土交通大臣指定又は地方整備局長指定の指定確認検査機関に対しても、この旨周知していることを申し添える。
記
第1 既存の基礎ぐいの利用時における建築基準法第37条の取扱について
基礎ぐいに用いる建築材料は、既製コンクリートぐいなど告示等で使用が認められている場合を除いて、法第37条の規定に基づき、平成12年建設省告示第1446号(以下「材料告示」という。)別表第一において指定する日本産業規格(以下「指定JIS」という。)等に適合するもの又は国土交通大臣の認定を受けたものでなければならない。既存ぐいを建て替え後の建築物に利用しようとする場合においても、当該既存ぐいに用いられている建築材料は同条に適合することが求められる。
これまで材料告示については、規格の改正等に伴い累次の改正が行われているが、基礎ぐいに一般的に用いられる建築材料であるコンクリート、鉄筋、構造用鋼材等に係る指定 JISについては、これまでの各規格の改正において改正前の規格が対象としている範囲の一部又は全部を除外する見直しが行われていない、又は見直しが行われている場合であっても当該見直しが行われる前の日本産業規格を指定JISとしている。
このため、法第37条の規定に適合するものとして建築された建築物又は建築物の部分に使用されていた基礎ぐいを利用する場合、当該既存ぐいについては、法第37条に適合するものとして取り扱って差し支えない。
なお、法第37条は建築材料の品質に関する規定であり、既存ぐいを利用する際には、強度等の力学的特性値について別途確認が必要であることに留意されたい。
第2 既存ぐいに利用に関する参考資料
(以下、次のセクションで紹介します。)



技術的助言には、第37条の取扱いやガイドライン、設計指針が整理されていて参考になります。
特に37条の指定JISの扱いは、これまで判断が分かれる場面もあったため、今回の整理は実務上助かります。



既存材料の再利用といえば、悩ましい点として第37条の扱いが挙げられます。
さらに、これまでは審査側も設計者も、ガイドラインをどこまで参考にできるか判断が難しい場面がありました。
今回、国交省が方針を示したことで、実務での参考にしやすくなったという理解が広がりつつあります。
既存杭の利用に関する資料とは?



国土交通省の技術的助言に参考資料が整理されています。
ここでいくつか紹介します。
| 参考資料 | 作成者/内容 |
|---|---|
![]() ![]() 既存地下工作物の取扱いに関する ガイドライン | 作成:一般社団法人日本建設業連合会 ポイント:既存地下工作物の有用性の有無等の判断の目安をまとめた資料 |
![]() ![]() 既存杭を含む敷地における 建築物の設計指針(案) | 作成:国土交通省国土技術政策総合研究所 ポイント:既存杭を含む敷地における建築物の構造計算の方法及び技術資料をとりまとめた資料 |
![]() ![]() 既存杭利用の手引き -現在と将来の利用に向けて- | 作成:一般社団法人日本建設業連合会 ポイント:既存ぐいを利用する場合の検討手順や調査技術等をとりまとめた資料 |
![]() ![]() 既存杭の利活用・処理における 情報表示ガイドライン2023 | 作成:一般社団法人建築基礎・地盤技術高度化推進協議会 ポイント:既存ぐいを利用する建築物の設計のためのに解体時に残すべき情報等をとりまとめた資料 |
![]() ![]() 建築構造審査・検査要領 ー実務編 審査マニュアルー 2018年版 ※インターネットで閲覧できない資料です | 作成:日本建築行政会議 ポイント:既存ぐいを用いた建築物の審査方法等をとりまとめた資料 |
<引用>
国土交通省 既存の基礎ぐいの利用について(技術的助言) 「第2既存ぐいの利用に関する参考資料」から一部引用
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現場でよく聞かれる疑問を、行政実務や審査の視点でシンプルにお答えします。
行政に携わった経験を踏まえて



杭の再利用の相談って多いですか?



相談は多くありませんが、時々あります。
ただし、施工時の資料がすべて揃っていることは少なく、既存杭の予備調査で行き詰まるケースが多いです。
必要な資料には、施工写真、杭材料の納入記録、材料試験結果、継手の施工写真などがあります。
また、杭の支持層到達を示す資料として、土質サンプルや写真、支持層深度や杭先端深度の計測記録、掘削抵抗電流値と深度の関係資料、セメントミルク注入量の記録などが必要になるのが一般的です。
まとめ
既存の杭は再利用が可能
以前はJIS規格への適合を求めるか判断が分かれていましたが、技術的助言により法第37条に適合するものと整理された
具体的な技術的助言やガイドラインが示されているので、審査や設計時の参考になる
元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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