
日影規制はなぜ8時から16時まで?
9時から15時ではダメなの?
日の出から日没にしなかった理由は?
この疑問をスッキリ解決!
💡ズバリ、結論はこちら!
午前8時前や午後4時過ぎの太陽は地平線に近いため、日照の効果がほとんどない
その時間は都市部では建物や地形によって日照がない(遮られている)ことも一つの要因
そのため、日影規制は8時から16時まで!



この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人


元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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日の出から日没にしなかった理由は?



日影規制はなぜ8時から16時までになっているのでしょうか。
日の出から日没までの日照はなぜ対象外になっているのでしょうか。



日影規制の制定時の文献には、次のように記されています。
この条文は、法によって日影を検討する場合には、日の出から日没までのすべての時間帯について検討するという必要はなく、午前8時から午後4時までの間で検討すればよいことを意味しているのです。
午前8時より前と、午後4 時より後との時刻に日影となることがあっても、それらは計算に入れないことになります。
冬至の日では、午前8時前や午後4時過ぎの太陽は地平線に近く、ほとんど日照の効果は無いし、都市部では建物や地形に遮られて日照が無い場合も多いと判断されるため、これらを計算に入れない方が実際的であると考えられたためです。
なお、対象建築物が計画される以前に、山や樹木や他の建物のために、午前 8時から午後4時の間に既に日影になっている時間帯があって、これと対象建築物の日影が重なる場合でも、関係なく、この8時間の時間帯の全部について、 機械的に検討しなければなりません。
引用:だれにもわかる日影規制とその対策 オーム社



確かに太陽が地平線に近い時間帯は、ほとんど日照がないのと同じですね。



日照が確保されやすい時間帯として、午前中から昼過ぎが実情に合っていると判断されたようです。
日影規制はなぜ8時から16時まで?





午前8時前や午後4時過ぎの太陽は地平線に近いため、日影がほとんどないと判断された理由は理解できました。
そうなると、午前9時から午後3時に設定して、太陽が高い位置にある日照を確保するべきと考えられます。
朝早い時間や夕方の日照よりも、日中の日照の方が感覚的にはありがたいです。



日中の日照が望ましいと考えられるのは確かです。
実際、昭和50年にその点について国会で議論が交わされました。
国会の建設委員会での質疑応答を要約すると、次のように説明されています。
質問(国会議員)と回答(建設省)のまとめ
- 質問: 午前8時から午後4時までの日照時間(有効可照時間)の根拠は何か?
- 回答: 建築審議会で検討された結果、住民の心理的な問題として朝日が重要だという調査結果が出たため、午前8時から午後4時までの8時間を採用しました。
- 質問: 根拠は心理的なものに過ぎないのか?
- 回答: はい、住民の心理的な影響を考慮して採用されました。
- 質問: では、日照時間として3時間や4時間を認める根拠はどこにあるのか?
- 回答: 住民の意向調査の結果、午前・午後の日照に対する心理的な差がないということが分かり、時間帯に関係なく日照時間を設定しました。
- 質問: 矛盾しているのではないか?朝日を重視するなら、日照時間は朝に重点を置くべきではないか?
- 回答: 一般的には正午の日照が重要とされていますが、調査結果から、朝日と正午の日照に心理的な差はないことが分かったため、時間帯に関係なく日照時間を設定しました。
- 質問: 結局、この日照時間の設定には科学的根拠はないのか?
- 回答: 科学的根拠に基づく議論もありましたが、最終的には住民の意向調査に基づき、朝日の重要性が認識されたため、午前8時から午後4時の時間帯が採用されました。
引用:第76回国会 衆議院 建設委員会 第3号 昭和50年12月3日を一部加工
回答者:建設省住宅局参事官 救仁郷斉
(【補足】建築基準法施行時から建設省に勤務。建築行政を振り返ったインタビューの内容が住宅・建築行政 オーラル・ヒストリーに残っています)
まとめ:
日影規制の日照時間の設定において、科学的根拠よりも住民の心理的な影響が重視された結果、午前8時から午後4時までの時間帯が有効な日照時間として採用されました。しかし、住民の意向調査の結果として、時間帯に関しては厳密な科学的根拠はなく、心理的な調査結果に基づいて決定されているようです。



心理的な要素で決まったんですね



日中の日照を重視すべきという意見が国会議員からありましたが、それは自然な考えです。
とはいえ、日照には心理的な要素が強く、日照権の侵害による損害賠償請求も『精神的苦痛に対する慰謝料』として扱われています。
このことからも、当時は科学的な基準の設定が難しかったと考えられます。
行政に携わった経験を踏まえて



隣のマンションの日影図が正しいか、実際に確認したいです。
自室の日影になる時間を測ってみようと思います。



日影規制は以下の条件で作成されるので、自宅の自室で測定するのは困難です。
1. 冬至日の日影図(12月22日。年によっては一日前後しますが概ね22日。)
2. 太陽は標準時ではなく真太陽時を採用
(正午は、太陽が敷地の正南に位置した瞬間とされていますが、実際には12時に太陽が真南に位置するわけではありません。例えば、東京では11時39分25秒、大阪では11時56分24秒に太陽が真南に位置します。)
3. 測定面の基準となる地盤面は対象建築物の敷地
(自宅ではなく隣のマンションの敷地)



隣が2階建ての住宅を建築中ですが、軒高7m超えるか知りたいです



建築計画概要書に軒高が記載されているので、それを参考にできます。
一般的な戸建て住宅で軒高が7mを超えることはほとんどありませんが…。
まとめ
午前8時前や午後4時過ぎの太陽は地平線に近いため、日照の効果がほとんどない
その時間は都市部では建物や地形によって日照がない(遮られている)ことも一つの要因
元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
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