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旅館・ホテルへの用途変更で注意すべき建築基準法の規定とは?敷地・構造・防火など徹底解説

旅館・ホテルへの用途変更で注意すべき建築基準法の規定とは?敷地・構造・防火など徹底解説

戸建て住宅を旅館・ホテル営業として使いたい。

他にも、共同住宅や長屋の数部屋を、旅館・ホテル営業として使いたい。

この場合、用途変更の確認申請は必要ですか?

それと、用途変更にあたる場合、どのような規制が適用されるのか、概要を知りたいです。

この疑問をスッキリ解決!

💡ズバリ、結論はこちら!

旅館に変更する部分の面積が200㎡を超える場合、用途変更の確認申請が必要

200㎡以下であれば申請は不要ですが、建築基準法への適合義務は変わらない

住宅を旅館やホテルに用途変更する場合、防火区画・避難規定などの基準が大きく異なる(そのため、実際には改修が必要になるケースがほとんど)

用途地域や、既存建物の法的な適合状況も重要。着手前に、建築士と一緒にしっかり確認することをおすすめします

旅館やホテルへの転用は、民泊需要や収益性から検討される方も多いですが、建築基準法には数多くの規定が存在します

特に、住宅や共同住宅からの用途変更では、敷地条件・構造・防火・避難・条例に注意が必要です。

今回は、よく問題となる項目を表にまとめて解説します。

この記事を書いた人

ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
許可・認定、違反指導、条例制定などの実務経験を活かし、行政のリアルを発信しています。

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この記事の流れ

用途変更の基本ルールを押さえよう

200㎡以下の用途変更でも、建築基準法への適合は必須

適用されるのは「現行の法令」なため、変更する部分は現行法に適合させる必要がある

用途変更の面積にはリネン室や廊下も含まれるため、正確な算定が重要

ホテルや旅館は「特殊建築物」に該当し、防火区画・避難規定・条例の基準が厳しくなる

小規模だし、確認申請いらないなら自由にできると思ってました…。

でも旅館営業って、やっぱり厳しいんですね。

確認申請の有無にかかわらず、旅館・ホテルには住宅より厳しい基準が適用されます。

特に防火区画や避難規定、接道など、旅館・ホテルは求められる基準が厳しいです。

誤解を避けるためにも、計画段階で建築士へ相談することをおすすめします。

旅館・ホテルに変更するなら、ここに注意!主要な規制まとめ

旅館・ホテルに用途変更する場合は、建築基準法の厳しい規定が適用されます。

しかも、住宅とは異なる基準が多く、見落としがあると追加の対応が必要となる場合があります。

そこで、よく使われる主な規制を一覧表にまとめました。

まずはここで全体像を把握しておきましょう。

戸建てをホテル・旅館に変えるときの「主な規制」一覧

分類主な規定・ポイント
接道・条例によっては接道長さに上乗せ規制があり、例えば東京都では最低4m以上の接道が必要とされる場合がある。
路地状敷地・路地状敷地は条例で長さや幅の基準が定められており、用途変更にあたって追加の検討が必要となる場合がある。
用途制限・建築基準法43条許可を受けた建物は原則旅館等への用途変更ができない。「専用住宅に限る」と条件付のことが多い。
耐火要求・3階以上を旅館用途にする場合は建物全体を耐火建築物に。200㎡未満+警報設備があれば除外規定がある(住宅用火災報知器は不可)
防火区画・階段や吹抜けには竪穴区画が必要。建物の一部のみ変更する場合は異種用途区画も必要。
避難規定・面積や階数により、2以上の階段設置、内装制限、防火区画の規定が適用される。
排煙設備・原則、居室に排煙上有効な開口部が必要
設備非常用照明の設置が原則必要だが、緩和規定も存在する。
階段寸法・蹴上げを低く、踏面を広くするなど住宅より緩やかにする必要がある。既存階段の寸法確認が必要。
容積率関連・共同住宅から変更すると共用部分の容積緩和が適用されなくなる。容積率上限に注意が必要。
条例・東京都建築安全条例や建築基準法施行条例により、規制が強化されていることがある。

これも見逃せない!その他にも注意したい規制!

分類主な規定・ポイント
防火上主要な
間仕切壁
・客室を3室以下かつ100㎡以内ごとに、準耐火構造の間仕切壁で区画が必要
・客室と避難経路の間も同様に準耐火構造または耐火構造の間仕切壁で区画
無窓居室・窓のない居室は、壁等を耐火構造又は不燃材料で区画する
・休憩室や厨房も「居室」に該当するため注意
換気設備・火気を使用する部屋(厨房等)には、換気設備の設置が必須

こんなに規制があるんですか?

事前に確認しておくことが大切ですね

はい、その通りです。

旅館やホテルへの変更は、住宅とは規制のレベルが大きく異なります。

一覧表で、特に重要な注意点をしっかり確認しておきましょう。

よくある勘違いと現場での注意点

用途変更に関する誤解は、設計者や建築主の側にも意外と多く見られます。

ここでは、誤解されやすいポイントとその対応をQ&Aで確認していきましょう。

あとで気づいて後悔…用途変更でありがちな誤解とは?

小規模なら確認申請はいらないと思っていた

延べ面積が200㎡以下であれば、原則として用途変更に確認申請は不要です。
ただしそれは「申請が不要」なだけで、「建築基準法に適合させる義務」は変わりません。
法令に適合していない場合、是正を求められることがあり、運営に影響が出る可能性があります。

廊下やリネン室は用途変更の面積に入らない?

廊下や階段、リネン室などの共用部分も、旅館・ホテルの「用途に供する部分」として面積に算入されます。
「客室だけが対象」と考えて面積計算を誤ると、200㎡を超えて用途変更の確認申請が必要になる事態も。
また、消防法にも影響するため、共用部を含めて計画初期に整理することが重要です。

既存不適格部分を残したまま、用途変更できる?

用途変更する範囲については、「現行の建築基準法」に適合させる必要があります。
原則として既存不適格のままでは使えません。
とくに避難規定・防火区画・階段寸法などが基準に満たない場合は、改修が必要になるケースが多くあります。
※遡及の緩和については建築士に相談することをおすすめします

図面通りでも油断禁物!見落としがちなポイントとは?

確認済証・検査済証があるかを最初にチェック

まず、確認済証・検査済証の有無を確認しましょう。
これらが無いと、建築基準法に適合しているかどうかを証明するのに大きな時間とコストがかかります。
特に増築の履歴がある建築物では、適法性の裏付けが困難なケースも。

建築基準法を守っていれば、少し貸す程度であれば用途変更は問題ないですよね?

実は「一部だけ貸す」「短期間だけ使う」といった軽い用途変更でも、厳密には建築用途が変わるため、法的な扱いが大きく変わります。
知らずに旅館業に該当する運用をすると、建築違反として是正指導の対象になるおそれがあります。
計画初期の段階で建築士へ相談を。

用途地域や地区計画等も忘れずに確認

建築基準法に適合していても、用途地域や地区計画の制限で「旅館・ホテル」が禁止されているケースがあります。
旅館・ホテルは、用途地域で可能でも、地区計画や特別用途地区で制限される例があります。
そのため、「用途地域さえ見れば安心」は危険で、用途地域以外の規制の確認が不可欠です。

旅館やホテルへの用途変更は、規模にかかわらず多くの技術的ハードルがあります。

耐火要求・避難規定・防火区画に加え、条例や容積率の影響、用途地域の制限なども絡むため、一見小さな計画でも、全体の法適合性を精査する必要があります。

建築基準法はもちろん、条例や都市計画のルールも含めて、計画の初期段階から建築士・行政庁と連携しておくことが、トラブルを防ぐ最大のポイントです。

行政に携わった経験を踏まえて

ここでは、行政実務に携わった経験をふまえ、現場で得られた知見や気づきをご紹介します。

確認申請が不要な小規模でも、これだけの法適合が求められるんですね。
検査済証の有無や接道状況まで調べ直すとは想定外でした…

用途変更は「現行法への適合」が原則です。

防火区画・避難規定など、法適合性の条文を整理して確認することが重要です。

特に旅館・ホテルは規制が厳しく、計画初期からの法的整理が成功の鍵です。

まとめ

用途変更は200㎡以下でも建築基準法の適合が必須(確認申請の有無に関わらず)

既存建物の法適合性が前提。検査済証がない建物は特に注意が必要

旅館・ホテルに変更する場合は、耐火要求・避難規定・階段など厳しい規定が適用

建築基準法だけでなく、東京都建築安全条例など行政庁の条例にも注意

容積率・接道・用途地域など、敷地要件の確認も忘れずに

この記事を書いた人
ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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