
共同住宅の「主要な出入口」って、どんなルール?
「道路に面する」って、どう判断されるの?
行政庁ごとに、取扱いに違いがあるの?
この疑問をスッキリ解決!
💡ズバリ、結論はこちら!
共同住宅の主要な出入口は、道路に面する必要がある
道路に面できない場合は、道路までの距離に応じた通路幅を確保する必要がある
『面する』の定義は条文上は明記されておらず、特殊なケースでは申請先へ事前相談を
行政庁で取扱いを公開している例もありますが、ごく一部にとどまります



この記事の最後に「行政のリアル」として、行政現場での実務や日常の話をお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人


元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
許可・認定、違反指導、条例制定などの実務経験を活かし、行政のリアルを発信しています。
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「共同住宅の主要な出入口」とは?
共同住宅の主要な出入口とは、日常的に使う出入り口や、直通階段・避難階段の避難上主要な出入口を指している
安全条例では、これらの出入口を「道路に面して」設けることが求められている
ただし、面することができない場合は、道路までの距離に応じて通路幅を確保する必要がある



共同住宅の「主要な出入口」って、道路に面して設けないとダメなんですね。



敷地や建物がシンプルなら、この規定は比較的クリアしやすいです。
ただ、形が複雑だったり、道路までの距離があると、適合がかなり難しくなります。
設計者泣かせの条文の一つです。
共同住宅の主要な出入口(エントランス)は、道路に面して設ける必要があります。
道路に面していない場合は?
出入口から出たときに、正面に道路があって近ければ「面している」と判断されます
一方で、道路が正面にない、あるいは距離が離れていると「面していない」とされ、その場合は距離に応じた通路幅を確保する必要があります



道路に面して設計できないときは、どうすればいいんでしょうか?
敷地の形状や建物の計画次第では、道路に面するのが難しいこともありますよね。



面することができない場合、道路までの距離に応じた通路幅を確保する方法もあります。
具体的な基準は、次の表をご覧ください。
| 住戸の床面積の合計 | 通路の幅員 (道路まで20m以下) | 通路の幅員 (道路まで20m超35m以下) | 通路の幅員 (道路まで35m超) |
|---|---|---|---|
| 100㎡以下 | 1.5m | 4m ※道路まで20mを超えると、住戸の面積に限らず通路幅4m必要になります | 6m ※道路まで35mを超えると、住戸の面積に限らず通路幅6m必要になります |
| 100㎡超~300㎡以下 | 2m | ||
| 300㎡超 | 3m |



耐火建築物なら、表の床面積の数値を2倍にして計算できるんですね。



計画によっては、通路の幅を確保するのが難しいこともあります。
そんなときは、耐火建築物にすれば幅を少し狭くすることができます。
でも、道路までの距離があると、住戸の広さに関係なく4mや6mの幅が必要になります。
これは、道路位置指定基準に準じて決められているようです。
「道路に面する」ってどういう意味?



出入口の正面に道路があれば、設計は比較的容易になることが多いです。
でも、そうはいかないケースも多いです。
「道路に面する」って、どこかに決まりはあるんですか?



残念ながら、明確な定義はありません。
行政庁や確認検査機関ごとに判断がバラバラなんです。
中には、取扱いを公開している行政庁もありますが、ほんの一部にとどまります。
| 公開されている判断基準 | 明文化・公的資料なし |
|---|---|
| 一部の行政庁による取扱い | 東京都建築安全条例の条文に明記なし 東京都の技術的助言なし 『東京都建築安全とその解説』(書籍)にも記載なし |



出入口の正面に道路はありますが、距離があります。
それだけで「道路に面していない」と判断されてしまいました。



「道路に面する」は定義も統一基準もありません。
ただ、昔の書籍には「道路との距離」に関する考えが書かれていました。
それが今も、行政庁や指定確認検査機関に引き継がれているのだと推測されます。
※本画像は『東京都建築安全とその解説』(発行:社団法人 東京建築士会)より引用しています。
著作権は著作者に帰属します。
ピロティ経由の通路は認められる?判断のポイントを解説!
避難上支障がなく、次の条件をすべて満たせばピロティ経由で通路を計画することができます。
1.十分に外気に開放されたピロティ状の通路
2.耐火構造の床・壁及び防火設備(常時閉鎖)で屋内部分と区画
※耐火建築物以外は、床・壁は準耐火構造でよい
3.通路の壁及び天井の下地、仕上げが不燃材料
4.通路部分が将来にわたって屋内的用途に転用されるおそれのない空間
引用:『東京都建築安全とその解説』(発行:社団法人 東京建築士会)



通路は原則として屋外・青空が必須と聞いたことがあります。
でも条件を満たせば、ピロティ経由ならOKになるんですね。
意外と簡単に適合できそうですが、注意点ってありますか?



例えば、「十分に外気に開放」として、隣地境界線まで有効距離50cm以上空けるなど、取扱いが決まってる行政庁や指定確認検査機関もあります。
それと、屋内部分に出入口があると常時閉鎖式の防火設備の設置が必要です。
たとえば駐輪場の出入口があると、そこの扉も防火設備になるため使いにくくなります。
引用:大田区「主要な出入口からの通路(ピロティ状)と窓先空地からの屋外通路を兼用する場合」 こちらは、主要な出入口だけでなく、窓先空地からの屋外通路をピロティ状として扱ったケースです。実務の参考になる取扱いだと思います。
行政庁ごとに違う?取り扱いの有無と確認ポイント!
行政庁によっては、取り扱いをホームページで公開しています。
設計前に確認しておくと注意点を把握できるので安心です。



敷地や建物形状が複雑な時は、行政庁の取り扱いが気になります。



行政庁によっては取り扱いを公開しているため参考になります。
| 行政庁 | 取り扱い基準集 | 主要な出入口の 取り扱い基準 |
|---|---|---|
| 東京都 | 取扱基準 | なし |
| 足立区 | 足立区建築基準法等の取り扱いについて | なし |
| 荒川区 | 建築基準法関係の解説及び運用基準 | なし |
| 板橋区 | 建築基準法等に関する板橋区の取扱いについて | なし |
| 江戸川区 | 江戸川区建築基準法等における取扱い基準 | なし |
| 大田区 | 建築基準法等の取扱いに関する基準 | ・主要な出入口からの敷地内通路と窓先空地を兼用する場合 ※「道路に面する」の取扱いは無し |
| 葛飾区 | 建築基準法等における取扱い | なし |
| 北区 | ― | ― |
| 江東区 | ― | ― |
| 品川区 | 品川区における建築基準法等の取扱い | なし |
| 渋谷区 | 建築基準法等に関する渋谷区の取扱い | なし |
| 新宿区 | 建築基準法等に関する新宿区の取扱い | なし |
| 杉並区 | 建築基準法等における取り扱い基準 | なし |
| 墨田区 | ― | ― |
| 世田谷区 | 建築基準法等の取扱について | なし |
| 台東区 | 建築基準法等に関する質問とその答え(Q&A) | なし |
| 千代田区 | ― | ― |
| 中央区 | 中央区建築基準法等取扱い基準 | ・共同住宅等の主要な出入口の取扱い ※「道路に面する」の取扱いあり |
| 豊島区 | 建築基準法等における豊島区の取扱い基準 | なし |
| 中野区 | 東京都建築安全条例に関すること | なし |
| 練馬区 | 建築基準法取扱い基準 | ・主要な出入口の位置 |
| 文京区 | ― | ― |
| 港区 | ― | ― |
| 目黒区 | 建築基準法等の取り扱い | なし |
| 八王子市 | 建築計画に関する制限及び取扱い | なし |
| 町田市 | 建築基準法等の取り扱い基準 | なし |



取扱いがある行政庁って、ほんの一部なんですね。



定義や助言がないためか、多くの行政庁が公表していないのが現状です。
よくある誤解や疑問にズバリ答えます!



現場でよく聞かれる疑問を、行政実務や審査の視点でシンプルにお答えします。
行政に携わった経験を踏まえて



「道路に面する」って、判断が統一されていないです。
行政庁や指定確認検査機関ごとに対応が違うと、設計側は困ることが多いです。



条例に定義がなく、東京都から技術的助言も出ていないため、取扱い基準を設けるのは難しいのが実情と思われます。
一部では内規を定めている行政庁もあるようですが、東京都のように狭小敷地や複雑な敷地形状が多い地域では、どうしても個別判断になりがちです。
※なお、安全条例第19条(道路に面する窓・窓先空地)のように東京都から正式な考え方が示されれば、統一的な運用も現実的になると考えられます。
まとめ
共同住宅の主要な出入口は、原則として道路に面して設ける必要がある
道路に面できない場合は、距離に応じた通路幅の確保が必要。
「道路に面する」の明確な定義はなく、行政庁や確認検査機関ごとに判断が分かれる。
取扱いを公開している行政庁は一部にとどまるのが実情。
元政令市職員(行政庁出身)×確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
法律に関する国家資格を有しており、特に行政法(行政手続法・行政不服審査法)や民法について、法体系を横断的に理解するよう努めています。
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