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駅のホーム屋根は建築物!?鉄道施設が法律から外された背景を探る

駅のホーム屋根は建築物じゃない!?鉄道施設が法律から外された背景を探る

プラットホームの上屋って、なんで建築物じゃないの?


建築基準法の最初から除外されてたの?

この疑問をスッキリ解決!

💡ズバリ、結論はこちら!

「鉄道の法律で安全は確保されている」とよく言われるが、鉄道の関係法令の規制は構造ののみ

そのため、防火地域や準防火地域でも、耐火性能は求められていない

過去の文献を読むと、建築基準法の草案では建築物扱いだったのに、最終的に除外されて建築基準法が公布されたとのこと

この記事を書いた人

ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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この記事の流れ

建築基準法ではどう扱われている?

今の制度と、建築業界でよく聞く話を整理してみます

観点内容
建築基準法の位置づけ第2条「建築物」の定義含まれていない
対象から外れている理由(一般的に聞く理由)鉄道施設は鉄道営業法により安全が確保されているため、建築基準法の適用除外
実際に安全が確保されている?建築基準法レベルの性能(耐火性能など)は求めらていないため、建築基準法の防火基準と同じ水準が確保されているとは限らない。

確かに、駅の周辺は防火地域や準防火地域が多いですよね。

でも、上屋は鉄骨がむき出し。つまり、耐火性能はないってことになります。

上屋は鉄骨造だから、耐火被覆や塗装をしないと耐火性能は満たしません。

実際の上屋は鉄骨が露出しているケースも多く、防火・準防火地域の一般的な基準とは異なる扱いになっています。

「鉄道営業法でカバーされてるから大丈夫」って話も聞きますが、それは構造の話です。

鉄道関係法令では主に構造安全に関する基準が中心で、防火性能については建築基準法と同等の規定ではありません。

ちなみに、「鉄道事業法」と間違えて言われがちですが、正しくは「鉄道営業法」です。別物なので注意。

なお、余談ですが、駅周辺は防火・準防火地域になっているケースが多いですが、「駅自体はなぜか対象外」だったり、「駅前は防火地域なのに、駅舎は準防火地域」としているケースが実はあります。

設計してみないと気づかない、ちょっと不思議な実態です。

鉄道営業法の位置づけは?

鉄道営業法の位置づけを整理すると、次のことが分かります

観点内容
規制内容
鉄道営業法第1条
鉄道に関する技術上の基準を定める省令第26条
「プラットホームの上家は、予想される荷重に耐えることができ、かつ、旅客の利用に特に支障を及ぼすおそれのないもの」など構造安全に関する記述あり
鉄道法でカバーされない内容耐火性能は要求されていない

過去の技術基準

平成14年~


鉄道に関する技術上の基準を定める省令第26条(鉄道営業法第1条)

鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準(「鉄道構造物等の技術基準について」の通達)
※第29条により、地下鉄は不燃化する規定があり。

鉄道構造物等設計標準(RC造やS造など構造物の種類別で9種類あり)

昭和63年~平成13年

普通鉄道構造規則

新幹線鉄道構造規則

特殊鉄道構造規則

新幹線鉄道運転規則及び鉄道運転規則

大正8年~昭和62年

地方鉄道建設規程(大正8年閣令第11号)

日本国有鉄道建設規程(昭和4年鉄道省令第2号)

日本国有鉄道簡易線建設規程(昭和7年鉄道省令第8号)

建築基準法草案や過去の文献ではどうだった?

建築基準法の草案では建築物の定義について、過去の文献では次のように説明がありました。

市街地建築物法が建築基準法へと脱皮したのであるが、当時、日本は占領下でアメリカの司令部のO.Kがないと何一つできない状態であった。

市街地建築物法中の重要規定は第2次世界大戦中停止されていて、それが戦後解除されたが、そのまま復活するのも一案であるが、やはり敗戦後の新しい考え方で出発すべきだというので昭和24年ごろ建築基準法草案が作成検討された。

この草案がG.H.Q の司令部や関係方面と折衝を重ね、昭和25年施行の建築基準法となったものである。

この草案を見るとG. H.Qの意向はまだあまり入っていないで、当時の建設省の関係者の考え方が伺われる。

この草案と市街地建築物法との相異点を述べると、以下のごとくである。

鉄道及び軌道敷地内の運転保安施設、プラットホームの上家も建築物としていた



引用:「建築法規の変遷のその背景 明治から現在まで」 鹿島出版会 P.187

草案ではプラットホームの上屋も建築物に入ってたんですね

草案では確かに建築物でした。

でも実際にはご存じの通り、最終的に定義から除外されました。

その点について筆者はこう述べています

ただ、鉄道関係の施設について、線路敷地内の諸施設を建築物でないと定義し、確認等の対象にしなかったのはおかしかった。

引用:「建築法規の変遷のその背景 明治から現在まで」 鹿島出版会 P.194
筆者:大河原 春雄(昭和13年から警視庁建築課勤務、建築行政の最前線を知る人物)

「日本近代建築法制の100年  市街地建築物法から建築基準法まで」の文献には、「鉄道法や軌道法にすでに監督規定があるため、建築基準法を適用すると二重監督になる」との記述があります。


この点が、建築基準法の適用除外とされた理由なのでしょうか?

仮にその説明が正しいとすると、次のように一部の条文構成と整合させることが難しいケースもあります。

駅舎内の事務室、倉庫、店舗、利用者用トイレは建築物とされているため、駅舎の中に「建築物」と「非建築物」が混在する状態となり、制度上の取り扱いが一様ではない面も見られる

その結果、建築基準法を適用しようとしても一部の条項で整合が取れなくなる場合がある

道路法や河川法でも他法との重複(いわゆる二重監督)は存在するが、なぜ鉄道施設の一部の建築物だけが特別に除外されたのかという疑問が残る

誰が建築物から外させた?―3つの仮説

なぜ除外されたのか?こんな仮説も考えられます

<事実>
草案では建築物の扱いだった

建築物に該当しないと定義されたことについて、当時の職員(筆者)は「おかしい」と明確に指摘している


<仮説>
適用除外となった背景については、当時の制度設計にさまざまな要因が影響した可能性があります。

その候補として、以下の3者が考えられます
 G.H.Q(法律の制定に必ず関与していた)
 日本国有鉄道(建築物に該当すると耐火被覆が必要で、コストがかかる)
 運輸省(同上の理由で、影響力があったと推測される)

※文献「日本近代建築法制の100年  市街地建築物法から建築基準法まで」P.239には、誰からの要望であったかについての記述はありません。

当時の制度設計に影響した要因については明確な資料が少なく、複数の可能性が考えられるとされています。

文献でも特定の主体が明記されているわけではなく、制度運用上の判断が複合的に影響した可能性があります。

今後、もし新しい情報が出てきたら掘り下げていきます。

まとめ

「鉄道営業法で安全が担保されている」という説明は一般的にされるが、その範囲は主に構造面に限られている

制度上「建築物の定義から除外した」背景には、当時の政策的判断や運用上の都合が影響したと考えられる

耐火性能などは必ずしも担保されておらず、「鉄道の法律だから安全」という説明には限界があり、防火性能については建築基準法と異なる取り扱いとなっている

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ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
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