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位置指定道路の幅員が足りない!建築確認前に読んでおきたい落とし穴と対応方法を解説

位置指定道路の幅員が足りない!建築確認前に読んでおきたい落とし穴と対応方法を解説

本記事は建築基準法等に基づく一般的な解説を目的としています。最終的な取扱いは行政庁の判断によるため、必ず事前に確認されることをおすすめします。

現況の位置指定道路の幅員が不足している場合、どんな問題が起きるの?

幅員不足の時はどのような手続きが必要?

手続きにはどれくらい時間がかかる?

幅員が足りないと建築計画にどんな影響がある?

この疑問をスッキリ解決!

💡ズバリ、結論はこれ!

  • 位置指定道路の幅員が不足している場合、確認申請や完了検査で指摘を受ける可能性がある
  • 幅員不足の場合、まず行政庁に相談し、その後、関係権利者と協議を行い、協議書の提出が必要
  • 行政庁への相談や関係権利者との協議には数週間から数ヶ月かかる場合もある
  • 関係権利者と協議が整わない場合、道路後退が発生し、敷地面積が減少する可能性がある

この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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この記事の流れ

位置指定道路の幅員不足とは?

  • 幅員不足とは、指定された位置指定道路の道路幅員と現況の幅員に相違があること
  • 例えば、指定幅員が4mであるにもかかわらず、現況が3.8mしかないケース
  • 建築基準法の道路は、道路幅員が4m以上でなければならないため、確認申請や完了検査時に問題が生じる可能性がある
  • 行政庁によっては、幅員不足の位置指定道路を「不完全な位置指定道路」と呼ぶことも
道路位置指定図の写し
引用:墨田区役所「指定道路図及び道路位置指定申請図(5号道路の指定図)の閲覧について

※この図は位置指定申請図の参考例であり、幅員不足の道路を示すものではありません

指定図に4.00mと記載されているのに、現地では指定幅員が確保されていないことが本当にあるんですか

古い時期に指定された道路では、現況と指定図が一致しないケースも見られます。

特に昭和の時代に指定された道路は現況が整備されていないことが多いため、事前に現地確認しておくことが望ましいです。

位置指定道路の幅員が足りないと、建築計画にどのような影響がある?

確認申請や完了検査で指摘を受ける可能性がある

前面道路である位置指定道路が4m未満のため、接道として認められない場合がある

緊急車両の通行に支障をきたす恐れがある

位置指定道路の現況図

位置指定道路は、図のような区画割でつくられることが多く、実際には現況幅員が3.8mといったケースもよくあります。

あれ?

この位置指定道路は現況3.8mしかないですね。

位置指定道路の指定基準は幅員4m以上なので、これは幅員不足の位置指定道路でしょうか?

このケースでは現況が3.8mなので、4mには達していません。

そのため、このままでは道路として認められない可能性があります。

この場合、確認申請がスムーズに通らない可能性があり、仮に確認済証が交付されても、完了検査で合格しない可能性があります。

※もちろん行政庁によって異なるため、必ず事前に相談することをおすすめします。

位置指定道路の幅員が足りない場合はどうする?

  • 道路の現状を確認し、どの程度の幅員不足があるかを調査する

  • 行政庁に相談する

  • 指定図通りに復元できない場合は、関係権利者との協議や必要な手続きを行う

関係権利者との協議や手続きが必要なんですね。

この手続きや関係権利者との協議は最も重要なポイントです。

また、これらの手続きには時間がかかるため、次の項目で詳しく説明します。

関係権利者と協議したり、必要な手続きを行うとは?

位置指定道路の指定図通りに復元できない場合、関係権利者と協議し、位置指定道路の復元を行うことが求められる

その協議結果を行政庁に提出するケースが多い

関係権利者と協議が整わない場合、暫定的に一方後退4mを求められることがある

関係権利者とは、どの土地の所有者を指すのでしょうか?

図の通り、一般的には「隣接地」と「対抗する土地」を指します。

土地の権利者が複数いる場合、協議する人数が増えるため、より時間がかかることがあります。

「指定形態と相違している既存の道路位置指定済み道路の取扱い」
引用:千葉市役所「指定形態と相違している既存の道路位置指定済み道路の取扱い」

申請敷地の関係権利者(いわゆる向こう三軒両隣)との協議が必要です。

行政庁に提出する書類には、どのようなものが必要でしょうか?

「位置指定道路の復元に関する協議書」といった様式をインターネットで公開している行政庁もあります。

神戸市役所「位置指定道路の復元に関する協議書」
引用:神戸市役所「位置指定道路の復元に関する協議書」

神戸市では、復元に関する協議書の様式を公開しています。
このように情報が開示されていると、復元方法や必要な措置の具体的なイメージがつかみやすくなります。

添付書類にはどんなものが必要ですか?

例えば、経過書や図面を求める行政庁もありますので、事前に確認することをお勧めします。

鳥取市役所「不完全な位置指定道路の取扱いについて」(抜粋)
引用:鳥取市役所「不完全な位置指定道路の取扱いについて」(抜粋)

鳥取市では、添付書類について具体的な取扱いが定められています。
他の行政庁でも同様の書類を求めるケースが多く、一般的な取扱いと考えられます。

行政庁ごとの手続きや取り扱いについて調べてみた!

インターネット上で公開されている、各行政庁の手続きや取扱いを実際に調べてみました。

行政庁によって情報の出し方に違いはありますが、申請時の注意点や書類の取扱い方など、参考になる事例も多く見つかります。

行政庁手続き・取り扱い(抜粋)
福島市
(引用:道路位置指定(第1項第5号道路)の復元(確定)調査(ページ下部にあります))
道路に接する関係者(道路所有者、対向地の所有者、隣接者等)において、指定道路の位置の復元(確定)する旨の調査を行い、関係図書等の提出をお願いしています。
鳥取市
(引用:鳥取市役所:不完全な位置指定道路の取扱いについて)
関係者と道路位置指定の範囲の確定を協議をする必要があります。

(確定までの取扱い)
第4 協議を行った結果、前条の確定に至らない場合は、確定するまでの間、計画敷地側に一方後退とすることで道路の幅員を確保する。
東京都北区
(引用:東京都北区役所「不完全な建築基準法第42条第1項第5号(位置指定)道路の取扱」について)
関係権利者と協議をすることが必要となります。

「位置確認協議経過報告書ルート」は、原則、暫定一方後退となりますが、現況中心・地番中心・地番境中心等の暫定後退となるかは、過去の資料を踏まえ、事前相談時に区で判断します。
横浜市
(引用:横浜市役所「1項5号道路の形状や幅員は、どのように調べればいいのですか」)
現況幅員が道路位置指定図の幅員より狭い場合は、道路位置指定図の通りに復元する必要があります。

復元する道路の位置を確認したい場合は、関係する資料をご持参のうえ建築指導課にご来庁ください。
神戸市
(引用:神戸市役所:位置指定道路復元協議)
現況幅員が指定幅員に満たない場合、復元が必要になります。
「位置指定道路の復元に関する協議書」の提出をお願します。

 <復元の考え方>
現況の道路中心線から指定幅員の2分の1後退
対側が非関係地の場合は一方後退(関係地は、位置指定図で確認してください。)

多くの行政庁では、事前相談が必須なんですね。

中には、協議書の結果を提出しないといけないケースもあるんですね。

幅員不足の位置指定道路は権利関係が絡むため、行政庁によっては、手続き内容を記録として残す運用をしている場合があります。

そのため協議書の結果の提出が必要としているようです。

ただ、事前相談や協議書の提出が不要な行政庁もあるので、事前に確認しておくのが安心です。

隣接地や対抗地との協議が必要であることがわかりますね。

本来は位置指定道路の所有者と、道路に接しているすべての土地の所有者と協議する必要があります。

しかし負担が大きいため、計画敷地の隣接地と対抗地に限って協議を求めている行政庁が多いようです。

特に注意すべきポイントはありますか?

関係権利者との協議が整わない場合、行政庁によっては一方後退して4mを確保を求める場合もあります。

敷地面積が減少するため、計画に大きな影響を与える可能性があります。

行政に携わった経験を踏まえて

ここでは、行政実務に携わった経験をふまえ、現場で得られた知見や気づきをご紹介します。

位置指定道路の復元方法が行政庁ごとに異なる理由はなぜですか?

過去の事例や窓口での相談を参考にして、行政庁は取り扱いや内規を決めているようです。

また、位置指定道路は権利に関わるため慎重に扱っているようです。

現況の幅員が足りないことがなぜ発生するのでしょうか?

現在は、位置指定道路が築造された後に行政庁が検査を行い、合格後に指定の処分を経て公告されています。

昔は申請後に指定処分が行われていました。
(検査が実施されないまま指定が行われた事例が昭和時代の文献に紹介されています。)

そのため位置指定道路が申請通りに築造されているか確認できていませんでした。

法律上は検査後に位置指定道路の指定では?

検査の実施について法律上は定められていません。


位置指定道路はあくまで計画に対する指定のため、検査については規定がないようです。


昭和時代の文献によると、

『特定行政庁の指定は、道路計画を対象とするものであるから、指定に基づいて現実に築造された私道が法令に定める基準に合致しない場合であっても、指定処分自体の効力に影響はなく…

と述べているため、このことからも計画に対する行政処分であることが分かります。

近隣との協議には時間がかかるため、できるだけ早く手続きを終わらせたいです。

権利に関わることなので、隣接地と対抗地との協議が必須となっている行政庁が多いようです。

また、協議結果を提出した後、行政庁内で決裁が必要となるため、時間がかかることがあります。

協議が整わないと、一方後退して4mを確保するように求められることもあるんですか?

道路幅員が4m未満だと、建築基準法に基づく道路として認められない恐れがあります。

さらに、一方後退を行わない場合、たとえば外構のブロック塀が道路内建築に該当するおそれがあります。

ブロック塀などの外構がない場合でも、そもそも敷地設定に道路部分が含まれている可能性があり、敷地面積を誤って設定してしまうおそれがあります。

そのため、「協議が整わないが建築計画を進めたい」といったケースは、暫定的に一方後退4mの道路幅員を確保するよう求めているようです。

まとめ

位置指定道路の幅員が不足している場合、確認済証が交付されても完了検査に合格しない可能性がある(確認申請が通らない場合もあります)

幅員不足の時は行政庁に相談し、その後協議書の提出が必要

関係権利者との協議が整わない場合、道路後退が生じ、敷地面積が減少する可能性がある

協議には時間がかかるため、早めに行政庁に相談することが重要

この記事を書いた人
ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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