
都内で長屋を建てるときは避難経路が必要って本当?
避難上有効なバルコニーも必要って聞いたことがあります
設計や審査の参考となる技術的助言は出ていますか
この疑問をスッキリ解決!
💡ズバリ、結論はこちら!
長屋の出入口は道路に面するか2~4mの避難通路が必要
さらに、2方向避難のために50cm以上の避難通路も確保する
2階以上の住戸は避難上有効なバルコニーか器具が必要
記事の最後に、東京都の技術的助言を基にまとめた解説書をご用意しました。必要な部分だけを短時間で確認できる内容になっていますので、ぜひご活用ください。



この記事では設計のポイントや、審査でよくある質問もまとめています
最後までチェックしてみてください
この記事を書いた人


元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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安全条例の長屋の規制とは?
東京都建築安全条例では、長屋に対して次の3つの規制が設けられています
① 出入口は道路に面するか、2~4mの避難通路を確保する
② 50cm以上の避難通路を設ける
③ 2階以上の住戸は、避難上有効なバルコニーか器具を設ける
引用;東京都 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
(第5条 長屋の主要な出入口と道路との関係等)の施行について(技術的助言)



大きく分けて3つの規制があるんですね
都内は敷地が狭いので通路幅によって配置やボリュームが左右されそうです



3つの規制の中でも2~4mの避難通路は特に注意が必要です
ここから一つずつ説明します
①2~4mの避難通路とは?
原則として長屋の各住戸の出入口は道路に面する必要があります
ただし、道路に面して設置ができない場合は2~4mの避難通路を設ければ認められます



都内は敷地が狭いので、出入口を道路に面することが難しいケースが多いです
その場合は避難通路が必要になるんですね
でも2~4mの避難通路って実際には何mにすればいいんですか



避難通路の幅は延長距離や住戸面積によって変わります
特に35m以内か、35m超かで大きく違ってきます
1.延長距離が35m以内の場合
引用;東京都 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
(第5条 長屋の主要な出入口と道路との関係等)の施行について(技術的助言)
| 住戸面積/住戸数 | 10戸以下 | 11戸以上 |
|---|---|---|
| 住戸面積の合計が300㎡以下 | 通路幅2m | 通路幅3m |
| 住戸面積の合計が300㎡超 | 通路幅3m | 通路幅3m |



つまり、
・300㎡以下かつ10戸以下 → 通路幅2m
・それ以外 → 通路幅3m
したがって、通路幅2mにしたい場合は面積も住戸数も小さくする必要があります。
すべての住戸が40㎡を超えている場合は、基準の300㎡を400㎡に読み替えることができます。
つまり、「各住戸が40㎡超+住戸面積の合計400㎡以下+10戸以下」であれば、通路幅は2mでOKです。
2.延長距離が35m超の場合
引用;東京都 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
(第5条 長屋の主要な出入口と道路との関係等)の施行について(技術的助言)
| 条件 | 通路幅 |
|---|---|
| すべての場合 | 4m |



延長距離が35mを超えると、すべての場合で通路幅は4m必要です
どんなに小さな長屋でも例外なく4mになります
そのため、住戸面積が小さい場合は延長距離を35m以内に抑えると敷地をより有効に活用できる場合があります
②50㎝以上の避難通路とは?
災害時の避難手段を確保するため、「50cm以上の避難通路」に面する「避難上有効な開口部」が必要
該当箇所に関連するため、同図を再掲載



技術的助言の図では、さっきの2~4mの避難通路の裏側に50cm以上の通路があります
これは必要な通路ですか



50㎝以上の避難通路と、通路に面する避難上有効な開口部が必要です。
これは住戸面積や住戸数、道路に面しているかどうかに関係なく必ず設置が必要です
2方向避難を目的に、平成31年の条例改正で新たに義務化されました
この規制では「避難上有効な開口部」と「道路に通ずる50cm以上の避難通路」の両方が必要です。
つまり、避難通路を設けるだけでなく、その通路に面して有効な開口部を確保することにも注意が必要です。
③避難上有効なバルコニー・器具の設置とは?
50㎝以上の避難通路に面する「避難上有効な開口部が2階以上」にあるときは、避難上有効なバルコニーまたは器具を設ける必要がある
引用;東京都 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
(第5条 長屋の主要な出入口と道路との関係等)の施行について(技術的助言)



2階以上に避難上有効な開口部がある場合は必要なんですね。



50cmの避難通路に直接降りられなければ避難できません。
そのため避難上有効なバルコニーや器具が必要です。
ただし1階に避難上有効な開口部があれば設置は不要です。
行政庁の取り扱いは?



各行政庁での取り扱いを整理してまとめました。
| 行政庁 | 取り扱い基準集 | 長屋の取扱い |
|---|---|---|
| 東京都 | 取扱基準 | ― |
| 足立区 | 足立区建築基準法等の取り扱いについて | ― |
| 荒川区 | 建築基準法関係の解説及び運用基準 | ― |
| 板橋区 | 建築基準法等に関する板橋区の取扱いについて | 〇 東京都建築安全条例第5条における長屋の通路の扱いについて |
| 江戸川区 | 江戸川区建築基準法等における取扱い基準 | ― |
| 大田区 | 建築基準法等の取扱いに関する基準 | ― |
| 葛飾区 | 建築基準法等における取扱い | ― |
| 北区 | ― | ― |
| 江東区 | ― | ― |
| 品川区 | 品川区における建築基準法等の取扱い | ― |
| 渋谷区 | 建築基準法等に関する渋谷区の取扱い | ― |
| 新宿区 | 建築基準法等に関する新宿区の取扱い | ― |
| 杉並区 | 建築基準法等における取り扱い基準 | ― |
| 墨田区 | ― | ― |
| 世田谷区 | 建築基準法等の取扱について | ― |
| 台東区 | 建築基準法等に関する質問とその答え(Q&A) | ― |
| 千代田区 | ― | ― |
| 中央区 | 中央区建築基準法等取扱い基準 | ― |
| 豊島区 | 建築基準法等における豊島区の取扱い基準 | ― |
| 中野区 | 東京都建築安全条例に関すること | ― |
| 練馬区 | 建築基準法取扱い基準 | ― |
| 文京区 | ― | ― |
| 港区 | ― | ― |
| 目黒区 | 建築基準法等の取り扱い | ― |
| 八王子市 | 建築計画に関する制限及び取扱い | ― |
| 町田市 | 建築基準法等の取り扱い基準 | ― |



取り扱いを定めている行政庁はほとんどないんですね。



東京都の技術的助言で多くの懸念点が整理されているからです。
さらに共同住宅の規制に比べて長屋の方がシンプルであることも理由の一つなようです。
引用;東京都 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
(第5条 長屋の主要な出入口と道路との関係等)の施行について(技術的助言)本記事で紹介した技術的助言には、条例の解釈や趣旨が記載されており参考になります。設計前に一度目を通しておくことをおすすめします。
詳しい解説資料はある?



条文を横書き・算用数字に統一し、技術的助言もあわせて整理した“使いやすい解説書”を作成しました。
必要なポイントだけをまとめているので、短時間で確認できます。


まとめ
長屋の出入口は、道路の面するか、2~4mの避難通路を設ける必要がある
さらに、2方向避難を目的として、50㎝以上の通路を設ける
2階以上の住戸は、50㎝以上の通路に面する避難上有効なバルコニーか器具が必要
元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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