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建築基準法になぜ代執行の規定がある?代執行法との関係は?過去の文献を調べてみた!

建築基準法になぜ代執行の規定がある?代執行法との関係は?過去の文献を調べてみた!

建築基準法になぜ代執行規定がある?


代執行の裁量権は特定行政庁にあるの?


所有権移転後は、再度是正命令が必要?

この疑問をスッキリ解決!

💡ズバリ、結論はこちら!

行政代執行法の要件を緩和した特例として、建築基準法に代執行がある


代執行の実施には、特定行政庁に裁量があると判例で示されている


所有権が移転しても、改めて是正命令なしで戒告が可能

この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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この記事の流れ

建築基準法でなぜ代執行の規定がある?

行政代執行法があるのに、なぜ建築基準法に代執行規定があるのでしょうか?

まず代執行法の要件を整理しましょう

行政代執行法の三要件(実体的要件)

(1)法律により直接に、または行政庁の行政行為によって命ぜられた代替的作為義務を義務者が履行しないこと

(2)他の手段によって義務の履行を確保することが困難であること

(3)義務の不履行を放置することが著しく公益に反すること

これが「行政代執行の実体的要件」と呼ばれます。


そのうえで、文献では建築基準法の要件について次のように説明されています。

建築基準法は、昭和45年の改正で、行政代執行法が定める実体的要件のうち(2)と(3)を緩和して、
①命ぜられた措置を履行しないとき、
②履行しても十分でないとき、
③履行しても命ぜられた期限内に完了の見込みがない
ときに、代執行ができるものとした(建基9条12項)。

違反建築物が増加している社会の現状において、建築違反について義務の不履行を是正する緊急の必要性があるというのが、実体的要件を緩和した理由である。

前記の三要件のいずれかに該当する場合に、特定行政庁は、行政代執行法の定めるところにより代執行をすることができる。

引用:新建築基準法50講

要するに、建築基準法の代執行は行政代執行法の緩和の規定だったんですね。

行政代執行法では「公益に反すると認められたとき」と、厳しい要件があります。


代執行には慎重な判断が求められ、制約が多かったと言われています。


この状況を踏まえて、代執行の要件が緩和され設けられたようです。

代執行に裁量権はある?

代執行に裁量権があると思いますが、根拠はありますか?


それとも、代執行は機械的に行うべきでしょうか?

裁量権があると判例で示されています。

代執行の実体的要件を満たした場合でも、行政目的の円滑な遂行を図るために、代執行をするかどうか、またいかなる時期に代執行をするかは、特定行政庁の合理的な裁量に任されていると解されている(東京高判昭42・10・26高民集20・5・458、広島高判昭55・916訟務月報27・1・160)

また、要件の認定についても、命ぜられた措置の履行を期待しえないことが客観的に認められるかどうかは、技術的側面、現実の履行作業の進捗状況など、諸般の事情を考慮して判断すべきことになる。


引用:新建築基準法50講

裁量権はありますが、あくまで「合理的な裁量」に基づくものです。


合理性の判断には注意が必要です。

是正命令後、所有権が移転した場合は?

是正命令後に所有権が移転した場合、再度是正命令しないと代執行できないのでしょうか?

過去の文献では、再度是正命令せずに代執行が可能だとされています。

是正命令の後、 戒告がなされていない段階で当該建築物の所有権が移転したような場合には、「警察責任」の一般理論から是正命令の効果は新所有者に及ぶから、改めて是正命令を出すことなく、戒告をすることができる(東京高判昭42・12・25行集18・12・1810参照)。

引用:新建築基準法50講

行政に携わった経験を踏まえて

ここでは、行政実務に携わった経験をふまえ、現場で得られた知見や気づきをご紹介します。

行政庁の職員は、建築基準法の代執行だけを理解していれば良いのでしょうか?

それとも行政代執行法も読み込む必要はありますか?

建築基準法の代執行規定は行政代執行法の枠組みを前提にしており、実務では両者の関係を押さえておくことが望まれます。


建築基準法の代執行は、行政代執行法の上に成り立っています。


そのため相違点を理解する必要があります。

まとめ

行政代執行法の要件を緩和した特例として、建築基準法に代執行があります


代執行の実施には、特定行政庁に裁量があると判例で示されている


所有権が移転しても、改めて是正命令なしで戒告が可能

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ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
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