※本記事は2025年4月施行の条例改正をもとに執筆しています。改正案の段階から追いかけていた内容を整理し、現在の制度にあわせて再構成しています。

東京都建築安全条例の改正の概要について知りたい!
窓先空地が見直されたってホント?
改正後はどんなメリットがある?
技術的助言は出ているの?
この疑問をスッキリ解決!
💡ズバリ、結論はこれ!
今回の見直しでは、8条区画・窓先空地・大規模店舗の出入口に関する規定が主に改正!
特に窓先空地では、避難規定の合理化により、より柔軟な建築計画が可能に。
その他にも、規制のハードルが緩和され、既存建物のリニューアルもしやすくなった。
技術的助言も公表されており、実務において非常に参考になります。
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この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人


元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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条例の見直しの目的は?
用途変更を円滑に進め、建築技術の進展に対応するため
最近の建築基準法改正にも対応できるよう規定が見直される
引用:東京都「東京都建築安全条例の見直しの考え方」(抜粋)



東京都建築安全条例の改正は定期的に行われますか。



東京都建築安全条例は定期的に改正されています。
今回は令和元年以来の改正で、特に窓先空地規定の見直しが注目されており、建築主、設計者、審査者にとって重要な変更です。
改正のポイントは?
主なポイントは3つ!
(1) 8条による避難経路の防火区画(第8条)
階段から出入口までの避難経路に防火区画を設ける規定
(2) 窓先空地(第19条)
共同住宅の窓先に空地を求める規定
(3) 大規模店舗の出入口(第23条)
大規模店舗の出入口前に寄り付き空間を設ける規定



改正は規制強化ですか?それとも規制緩和ですか?



規定の見直し・避難規定の合理化による条例改正です。
よって規制緩和のイメージで差支えありません
8条区画の改正の方針は?
<現状と問題点>
現行基準では用途変更時に建物全体に遡及し、改修負担が大きいため、リノベーションが進まない。
<見直し内容>
避難階以外の階を用途変更 → 遡及なし
避難階を用途変更 → 部分遡及
引用:東京都「東京都建築安全条例の見直しの考え方」 現行基準では建築物全体に遡及するが、改正後は用途変更する部分の階に応じて遡及範囲を見直しすることにより、規定を合理化し用途変更のハードルを下げる。



これまで全体に遡及していたため、用途変更が難しく、改修の負担が大きかったと聞いています。



全体遡及が改修負担を大きくしていた問題がありました。
今回の改正は、安全性を確保しつつ、用途変更に伴う負担を軽減します。
部分遡及により既存建築物のリノベーションが促進されます
詳しくは、次の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。


窓先空地の改正の方針は?
<現状と問題点>
(1)低層部に店舗が入る共同住宅ではバルコニーが窓先空地に続かず、避難手段として機能しない。
(2)窓先空地の幅はすべての住戸の床面積の合計に基づいて決定されている。
<見直し内容>
(1)バルコニー等が代替の避難経路を提供している場合、窓先空地に避難機能を求めず、屋外通路も不要とする。
(2)連続しない2つ以上の窓先空地の場合、それぞれの窓先空地が面する住戸の面積に基づいて幅を算出。
引用:東京都「東京都建築安全条例の見直しの考え方」 低層部に店舗が入る共同住宅の場合、中高木の植栽・工作物の設置・建築物の建築が可能に。
各住戸のバルコニー等から窓先空地に替わる代替の避難経路が確保されている場合、窓先空地に避難の機能を求めず、屋外通路も不要に。



従来の規定では、緑化や計画の自由度に制約が生じる場面もありました。



見直しにより、居住環境(採光・通風)の悪化を防ぎつつ避難規定を合理化します。
今回の改正により中高木の植栽・工作物の設置・建築物の建築が可能になります
引用:東京都「東京都建築安全条例の見直しの考え方」 これまで全ての住戸の床面積合計に基づいて幅員を決めることを義務化していましたが、今後はそれぞれの窓先空地が面する住戸の面積に応じて幅員を求めることで、規定が合理化されます。



各窓先空地が面する住戸の面積に基づいて窓先空地の幅員を決定できませんでした。
疑問に感じながらも、全住戸の床面積の合計に基づいて幅員を設ける計画にしていました。



条文では、すべての住戸の床面積合計に応じた幅員が求められており、一部の審査者でも疑問があったようです。
今後は、それぞれの窓先空地が面する住戸の面積に応じて幅員を算出することができ、より合理的な設計が可能になります。
詳しくは、次の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
大規模店舗の出入口の改正の方針は?
<現状と問題点>
古い事務所ビルでは、階高が低いため寄り付きの高さ確保が難しく、用途変更が困難
<見直し内容>
「高さ3.5m以上」の規制を廃止。避難に支障がないことから、新築や増改築時にも適用しない。
引用:東京都「東京都建築安全条例の見直しの考え方」 避難に支障がないことから、「高さ3.5m以上」の規制が廃止



階高は改修できないため、改正により設計がしやすくなりました。



寄り付きの高さの確保が支障となり、大規模店舗への用途変更が困難でした。
条例改正により、既存建築物の用途変更が円滑に進むことが期待されます。
実はまだある!知っておきたいその他の改正点



法令改正に対応する規定見直しとして、7つの改正ポイントがあります。
改正の方針は「東京都建築安全条例の見直しの考え方」を参考にすることをお勧めします。
引用:東京都「東京都建築安全条例の見直しの考え方」



特に注目すべき改正点は、以下の2つです。
①まず、異種用途区画の見直しです。こちらは建築基準法の改正に合わせた合理化で、法令で定められた緩和条件を満たす場合、安全条例における異種用途区画でも同様の緩和措置が適用されるようになりました。
②次に、既存不適格建築物の増築に関する規制の合理化です。
これまで安全条例は増築時に遡及適用されていたため、古い建物では増築が難しく、事実上あきらめざるを得ないケースも少なくありませんでした。
今回の改正により、遡及範囲の見直しにより、増築を計画しやすい場合が増えます。
技術的助言や都の公式HPでの案内はあるの?



東京都のホームページでは、技術的助言が公表されています。
内容は非常に実務的で有益なものであり、確認しておく価値があります。
建築関係者は必ず目を通しておくことをおすすめします。
引用:東京都 安全条例の一部を改正する条例の施行について(技術的助言) 技術的助言が公開されています。内容が非常に濃く、実務で活用できるポイントが多数含まれています。条例改正の趣旨や具体的な運用方法が丁寧に解説されており、現場対応や申請実務にも役立つ内容です。
引用:東京都 東京都建築安全条例の改正について(令和7年4月1日施行) 東京都のホームページでは、新旧対照表のほか、関連する告示の案内も掲載されています。改正内容を正確に把握するためには、これらの資料にも目を通しておくことが重要です。
「既存の建築物に対する制限の緩和範囲等」の告示
「条例第15条第2項第3号の内装の制限を緩和する部分」の告示
行政に携わった経験を踏まえて



窓先空地の規定が見直されて設計しやすくなります。



東京都建築安全条例の窓先空地の規定は、審査側でも悩むことが多いです。
技術的助言で具体的な考えが示されることを期待しています。



窓先空地の規定を満たす設計が難しいと感じます。



東京都建築安全条例の窓先空地は、横浜市建築基準条例の窓先空地と異なり、避難機能を兼ねているため複雑な規定になっています。
また、例えば千葉県建築基準法施行条例における「周囲の空地」はシンプルな考え方なので、やはり東京都の窓先空地規定は複雑な規定かもしれません。



公園に面していれば、窓先空地が不要でも問題ないと考えます。
今回はその規定について改正は行われないのでしょうか。



パブリックコメントで改正の要望を出した人がいます。
しかしながら、東京都の見解として
「公園に直接面している場合でも、将来にわたり災害時の避難手段の確保を図るとともに居住環境の悪化を防ぐため、敷地内に窓先空地を設ける必要があります。」
とのことです。
そのため、引き続き窓先空地は敷地内に設ける必要があります。
引用:東京都庁:「東京都建築安全条例の見直しの考え方(案)」への意見募集結果



規制緩和は、安全性のバランスが議論になる部分もあります。
その点はどのように検討しているのでしょうか。



東京都建築安全条例の見直しにあたり、学識経験者などの専門的意見を反映するために「東京都建築安全条例検討委員会」が設置されています。
したがって、東京都だけでなく、学識経験者等の意見も反映されているため、安全性にも十分配慮された見直しとなっています。
まとめ
令和7年4月改正により、窓先空地と8条区画、大規模店舗の出入口規定が見直され、建築計画の選択肢が広がりました
異種用途区画の合理化に伴い、安全条例でも法律で定められた条件を満たせば緩和が適用可能に
既存不適格建築物の増築や用途変更について、遡及範囲が限定され、改修が容易になりました
東京都の技術的助言や公式サイトでは、新旧対照表や改正内容の詳細が公開されており、設計前に目を通すことが強く推奨されます
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元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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