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容積率の緩和・不算入制度はいつ始まった?改正の歴史を解説

容積率の不算入制度はいつ始まった?改正の歴史を解説

古い建物の調査をしていますが、延べ面積を敷地面積で割ると、容積率がNGになります。

でも、車庫や共用廊下なら不算入って聞きました。

それって本当?制度はいつから始まったんでしょうか?

この疑問をスッキリ解決!

💡ズバリ、結論はこちら!

車庫・共用廊下・エレベーターの昇降路などには、容積率の緩和規定がある

建物が緩和規定の施行後に建てられていれば、その規定を使っている可能性が高い

調査では、建物の建築時期と緩和制度の時系列を照らし合わせることが大切

この記事の後半で、不算入制度の改正時期を一覧にまとめました

この記事の最後に「行政のリアル」として、行政現場での実務や日常の話をお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
許可・認定、違反指導、条例制定などの実務経験を活かし、行政のリアルを発信しています。

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この記事の流れ

容積率の緩和規定・不算入制度の基本

容積率の計算では、車庫や共同住宅の共用廊下などは、容積率の計算の基となる延べ面積から除外することができる

この緩和規定を活用すれば、実際の延べ面積を増やして設計することも可能

ただし、既存建築物の調査では注意が必要

容積率の緩和制度を利用しているかどうかは登記や台帳記載事項証明だけでは判断できず、一見すると違反建築物のように見えてしまうケースもある

平成10年築の共同住宅を調査しています。

登記や台帳記載事項証明の延べ面積を敷地面積で割ると、容積率がオーバーします。

都市計画課で確認しましたが、用途地域や指定容積率は変わっていません。

検査済証もありますが…これって違反建築物なんでしょうか?

結論から言うと、共同住宅の共用廊下については、平成9年から容積率の緩和制度があります。

そのため、この物件も緩和を適用している可能性が高いです。

違反と決めつけるのはまだ早いです。

当時の図面を確認する必要はありますが、検査済証があるため、違反の可能性は低いと考えられます。

建物を調査していると、面積から単純に計算すると容積率NG…というケースがよくあります。

よく聞いてみると「1階がピロティ形式の車庫」「共用廊下がある」「地階に住宅がある」など、緩和規定の対象になる特徴を持っている場合があります。

そのため、違反と決めつけず、容積率緩和制度の内容や改正時期を知っておくことが、調査を進めるうえで役立ちます。

容積率の緩和制度はいつから?改正の歴史をチェック!

容積率の緩和制度・不算入制度が「いつから始まり、どんな内容なのか」をわかりやすくまとめました。

調査や実務の参考に、ぜひチェックしてみてください。

施行日不算入できる項目不算入の条件・限度
1964年
 (S39.1.15)
自動車車庫建築物全体の1/5
(政令2条)
旧空地地区・容積地区・特定街区による容積制限
1971年
 (S46.1.1)
容積率の制限が施行
1987年
 (S62.11.16)
自動車車庫等(駐輪場)建築物全体の1/5
1994年
 (H6.6.29)
地階の住宅・老人ホーム等「住宅の部分」および「老人ホーム等の部分」の 1/3
1997年
 (H9.9.1)
共同住宅の共用の廊下等エントランスホール、エレベーターホール、廊下、階段のすべて不算入
2012年
 (H24.9.20)
備蓄倉庫(防災用)建築物全体の1/50
2012年
 (H24.9.20)
蓄電池の設置部分建築物全体の1/50
2012年
 (H24.9.20)
自家発電設備の設置部分建築物全体の1/100
2012年
 (H24.9.20)
貯水槽の設置部分建築物全体の1/100
2014年
 (H26.7.1)
昇降機の昇降路エレベーターの昇降路部分すべて不算入
2017年
 (H29.11.10)
宅配BOX建築物全体の1/100

こんなに種類があるんですね。

知らなかったものもあります。

意外と種類は多いですが、全部を同時に使うことはほとんどありません。

よく使われるのは、車庫・エレベーターの昇降路・共同住宅の共用廊下・防災備蓄倉庫です。

既存建物の調査でも、新築の設計でも、緩和や不算入制度を知っておくと選択肢が広がります。

よくある誤解や疑問にズバリ答えます!

現場でよく聞かれる疑問を、行政実務や審査の視点でシンプルにお答えします。

容積率違反なのかどうか、はっきり結論を知りたい。

当時の図面(求積図)や現地調査がなければ、容積率違反かどうかの判断はできません。行政庁に相談しても「緩和制度を適用している可能性がある」といった回答にとどまり、結論は出ないのが一般的です。
判断には、建築士へ依頼して現地調査を行い、図面がなければ平面図や求積図を復元する必要があります。
また、検査済証がなく、建築計画概要書に記載された階数や面積と明らかに一致しない場合は、違反の可能性があると考えられます。

平成元年に建てた共同住宅です。当時は共用廊下や昇降路の容積率緩和制度がなく、容積率ギリギリで設計されており、増築は難しいと言われました。現在の制度を使えば、増築時に緩和を適用できますか?

現行法での計算が基本となるため、現在の緩和制度を適用して延べ面積に余裕があれば、増築が可能となる場合があります。
実際に増築できるかどうかは、図面や面積計算を確認した上で判断する必要があります。

車庫や昇降路って、延べ面積に入らないんですか?

「延べ面積」には入ります。
ただし「容積率の計算対象の延べ面積」には入らない、という扱いです。
似ているようで大きく違うので注意が必要です。
例えば、建築計画概要書や台帳記載事項証明には通常「延べ面積」が記載されます。
そのまま割り算すると、容積率オーバーに見えることがあります。
※「延べ面積」より「容積率の計算対象の延べ面積」の方が面積は小さいです

行政現場のリアルな話

ここでは「行政のリアル」として、行政の現場から実務や日常の話をお届けします!

古い建物を調査すると、計算上NGになることが多いです。

でも、新しい建物ではそうならない。

なぜでしょう?

理由の一つは、建築計画概要書の記載内容です。

昔は延べ面積くらいしか書かれていませんでした。

今は、容積率の緩和部分も記載されるようになっています。

だから、新しい建物では正しく計算でき、NGと出にくいのです。

令和7年の建築計画概要書

令和7年の建築計画概要書。各項目ごとに記入欄が細かく設けられています。

平成10年の建築計画概要書

平成10年当時の建築計画概要書。延べ面積の記入欄のみが設けられています。

令和と平成初期を比べると、面積の記入欄の差に驚くはずです。

当時は記入欄がほとんどなく、得られる情報もごく限られていました。

一方、現在は延べ面積に加え細かな項目まで記入が求められ、作成には手間がかかりますが、情報量が豊富な分、既存建築物の調査や不動産取引の場面では大いに役立っています。

まとめ

車庫や共用廊下、エレベーター昇降路などは容積率から除外できるケースがある

緩和制度が施行された後に建築された建物は、その規定を利用している可能性が高い

調査では「建築時期」と「制度改正のタイミング」を突き合わせることが重要

この記事を書いた人
ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁出身)×確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。

法律に関する国家資格を有しており、特に行政法(行政手続法・行政不服審査法)や民法について、法体系を横断的に理解するよう努めています。

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