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車庫や備蓄倉庫は容積率に入る?同時に緩和できる?計算方法を解説!

車庫や備蓄倉庫は容積率に入る?同時に緩和できる?計算方法を解説!

車庫や備蓄倉庫って容積率に入らないんですよね?

緩和制度は一緒に使えますか?

できれば計算例も知りたいです!

この疑問をスッキリ解決!

💡ズバリ、結論はこちら!

車庫や備蓄倉庫は容積率の緩和対象になる

複数の緩和を同時に利用することも可能

記事の後半で計算例を紹介していますので参考にしてください

この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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この記事の流れ

容積率の緩和制度をわかりやすく解説!

容積率の計算では、車庫や共同住宅の共用廊下などは「容積率対象の延べ面積から除外できる部分」として扱われます。

この規定を使うと、延べ面積を大きくして設計が可能になります。

さらに、車庫や共用廊下に限らず、緩和規定のある用途については床面積の一部を不算入とでき、定められた範囲内で除外できます。

よく使われるのは、昇降路や共用廊下、備蓄倉庫、それに車庫ですね。

設計で活用した経験がある方も多いと思いますが、実は種類はかなり豊富です。

次の表で一覧にまとめてあるので、知っておくだけでも役立ちます。

不算入できる項目不算入の部分不算入の条件・限度
自動車車庫自動車・自転車の駐車施設建築物全体の1/5
地階の住宅・老人ホーム等住宅・老人ホーム・福祉ホームの居室、物置、廊下、階段、便所など住宅・老人ホーム等の床面積の1/3
共同住宅の共用の廊下等廊下、階段、エントランスホールなどすべて不算入
備蓄倉庫(防災用)非常食料、救助物資などの保管倉庫建築物全体の1/50
蓄電池の設置部分据置型、定置型の蓄電池と付加設備建築物全体の1/50
自家発電設備の設置部分建物で使用する電気を発電する設備建築物全体の1/100
貯水槽の設置部分水をためる槽(内部に人が入れない構造)建築物全体の1/100
昇降機の昇降路エレベーターの昇降路すべて不算入
宅配BOX配送物を一時保管する荷受箱建築物全体の1/100

容積率はどう計算する?実際の例を紹介!

よくある計算例を2つ紹介します。

ここでは、容積率の緩和を実際にどう計算するのかを具体例で確認していきます。

車庫や備蓄倉庫など、不算入となる部分をどう扱うのかを数字で見ると理解が一気に進みます。

計算例①:車庫を不算入するケース

計算例①:車庫と備蓄倉庫を不算入するケース

小数点の扱いは意外と見落としやすいポイントです。

端数の処理を間違えると、容積率の計算結果が変わってしまうこともあります。

次の点に注意して確認してみましょう。

敷地面積:小数点以下2位まで有効とし、3位以下は切り捨てる
床面積 :各階ごとに小数点以下2位まで有効とし、3位以下は切り捨てる
      ( 計算過程段階では端数処理を行わない。)
延べ面積:各階で端数処理した床面積を合計して算出する
容積率 :小数点以下2位まで有効とし、3位以下は切り捨てる
      (容積率が適合しているか判定する際は切り捨てない。)
     ※ほぼすべての審査機関では3位を切り上げるよう取り扱いをしています。
容積率から除外される不算入部分の面積:計算途中で設計者に有利となるような端数処理を行ってはいけない

(参考)面積算定の切り捨ての根拠

昭和 41 年3月 25 日住指発第 87 号
建設省住宅局建築指導課長

(抜粋)
 なお、不動産登記法施行令第4条及び8条に、地積及び建物の床面積の単位と端数処理の方法が別記の参考のように定められているので、確認その他の事務についても、これに準じて行うよう念のため申し添える。

{参考}
○不動産登記法施行令第4条
 「地積は、水平投影法により、平方メートルを単位として定め、1平方メートルの100分の1(宅地及び鉱泉地以外の土地で10平方メートルをこえるものについては,1平方メートル)未満の端数は,切り捨てる。」

○同施行令第8条
 「建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影法により、平方メートルを単位として定め、1平方メートルの100分の1未満の端数は切り捨てる。」

よくある誤解や疑問にズバリ答えます!

現場でよく聞かれる疑問を、行政実務や審査の視点でシンプルにお答えします。

容積率の不算入の緩和制度が増えているのはなぜですか?

背景には社会的な要請があるようです。
例えば、昔のマンションにはエレベーターが設置されていないケースが多く、後から設置したくても容積率が限界で増築できず、バリアフリー化の妨げとなっていました。そこで、エレベーターの昇降路や上屋を設けても影響は軽微と判断され、容積率の不算入制度が導入されました。
同じように、自動車車庫の不足や防災備蓄倉庫の必要性など、社会問題や安全対策への対応として、影響の少ない部分については不算入とする緩和制度が整備されてきたようです。

緩和制度を使って建物を大きくしたいのですが、行政庁や指定確認検査機関に相談すればアドバイスをもらえますか?

行政庁や確認検査機関の役割は、あくまで「建築基準法に適合しているかどうかの審査」です。そのため、経済的な設計や緩和制度の活用方法について、積極的なアドバイスをすることはほとんどありません。ただし、法令の解釈に関する相談であれば対応してもらえます。
一方で、緩和制度を設計に取り入れるかどうかは、設計者の工夫や経験が大きく関わる場面だと感じます。建築基準法を読み込み、適用できる緩和制度を見つけて設計に反映するのは、設計者が得意とする分野と思われます。

防災備蓄倉庫の容積率緩和で注意点はありますか

次の記事でQA付きで解説しています。合わせて読むと理解が深まります。

行政に携わった経験を踏まえて

ここでは、行政実務に携わった経験をふまえ、現場で得られた知見や気づきをご紹介します。

容積率ギリギリの建物って多いんですか?

計算ミスはないんでしょうか?

審査の立場から見ると、容積率ギリギリの計画は特に大阪や都内でとても多いです。

特にマンションは全国どこでも、ほぼ限度いっぱいまで使われています。

計算ミスについては、戸建て住宅では稀に大きな誤りがあり、質疑で発覚して修正されるケースがあります。

一方マンションは、誤記はあるものの大きな間違いは少ない印象です。

設計に慣れているのか、社内でチェック体制がしっかりしているのかもしれません。

まとめ

容積率には、車庫・共用廊下・昇降路・備蓄倉庫など不算入となる制度がある

制度は改正のたびに増加

計算時は端数処理や適用条件に注意が必要

この記事を書いた人
ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

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