自治会で集会所や物置を建てるとき、「建築主 ○○自治会 自治会長 ○○」という書き方をするのが一般的なようです。実務では“それっぽく見える”ため採用されがちですが、実はこの整理、法的には少しズレています。
理由は建築基準法ではありません。ポイントは、自治会そのものは通常、法人格を持たない団体であるという点です。法人格を持たないと権利義務の主体になりにくく、契約や申請の当事者になりにくい性質があります。正確には「権利能力なき社団」と呼びます。そのため、自治会名義で申請主体になる前提を作るには、「認可地縁団体」となる必要があります。認可地縁団体になると法人格を有する位置付けとなり、不動産の登記などの手続の主体になります。ちなみに認可地縁団体となるためには、行政庁への申請が必要です。
確認申請ではほぼ問題にならない理由
ただし、ここで誤解しやすいのが確認申請との関係です。確認申請は、建築計画が建築基準法に適合しているかを確認する手続であり、建築主が法人格を持っているかどうか自体は、審査の中心ではありません。図面や計画内容が法令に適合していれば、審査結果には影響しません。そのため、実務上この点を深く指摘されるケースは、ほぼありません。
影響が出るとすれば、むしろ工事中や完成後のトラブル時です。例えば工事事故や契約不履行などが発生した場合、法律上の責任主体が自治会なのか、名前を記載した自治会長個人なのか、整理があいまいになる可能性があります。ただし、ここまでが深刻な法的争いに発展するケースは多くなく、日常実務レベルでは大きな問題にならないことも多いのが実情です。
引用:鎌倉市 認可地縁団体の手引き ー自治会・町内会の法人化ー 鎌倉市の資料においても、自治会は法人格を有しない一方、認可地縁団体となることで法人格を取得できる旨が明確に示されています。

