当サイトは【毎週月曜】に新しい記事を更新しています。

審査請求の前置主義はなぜ廃止された?不服申立ての仕組みを解説!

審査請求の前置主義はなぜ廃止された?不服申立ての仕組みを解説!

どうして審査請求は「建築審査会」が担当するの?

再審査請求が大臣なのはなぜ?

昔は「裁判の前にまず審査請求」だったって本当?

この疑問をスッキリ解決!

💡ズバリ、結論はこちら!

専門性を確保し、公正な判断を担保するため、建築審査会を審査庁としている

もともとは機関委任事務で、最終責任者が大臣であるため、再審査請求は大臣に行われる

建築基準法の処分が多く行われることを考慮し、審査請求前置主義が導入されていた

この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人

ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

運営者情報を見る

この記事の流れ

審査請求が建築審査会の理由は?

行政不服審査法とは異なり、なぜ建築基準法で建築審査会を審査庁にしたのでしょうか?

「審査請求=建築審査会」は当たり前のように思えますが、実は昭和37年に行政不服審査法が制定されて以降も、審査請求先を独自に定めている建築基準法は例外的な存在です。

この点について、昭和後期に発行された文献では次のように説明されています。

建築行政は国の事務であり、特定行政庁、建築主事および建築監視員は、いずれも国の機関としての立場で建築基準法の事務を執行していると解されている。

したがって、これらには上級庁が存在するのであるが、建築行政が専門技術的性格が強いこと、裁決の公正妥当を期する必要があることから、合議制の第三者機関である建築審査会を、とくに審査庁としたのである。


引用:新建築基準法50講

建築審査会って、そもそもどんな人たちが判断してるんでしょうか?
本当に公正な判断をしてくれるのか、ちょっと気になります…。

建築審査会の委員は、建築や法律に詳しい専門家で構成されています。
行政とは別組織なので、判断も中立。
「公共の福祉」の視点から、公平に判断してくれる仕組みになっています。

再審査請求が大臣の理由は?

再審査請求って、大臣に出すんですよね?
どうして建築基準法だけ、そんな特別な仕組みなんですか?

行政不服審査法では、再審査請求ができるのはごく限られた場合に限られます。

実際、同法には「再審査請求をすることができると定めがある場合に限る」と明記されています。

つまり、再審査請求を規定している建築基準法は、かなり例外的な存在なんです。

この点について、昭和後期の文献では次のように説明されています。

建築基準法の執行について最終的に責任をもつ行政機関は建設大臣である。

そこで、 建築審査会の裁決に不服がある者は、建設大臣に対して再審査請求をすることが認められている(建基九五条)。

この再審査請求は、行政不服審査法八条一項一号にいう再審査請求にあたる。


引用:新建築基準法50講

もともと、建築行政は「機関委任事務」とされていたため、最終的な責任者である大臣に再審査請求ができる仕組みが設けられていました。

現在では、機関委任事務そのものは廃止されていますが、建築基準法における再審査請求の制度は当時のまま残っています。

この制度が今も続いているのは、「機関委任事務だった時代の名残」と考えられています。

また、当時の制度下で建てられた建物が今も数多く残っており、その扱いを踏まえると、制度を簡単には変えられない背景もあるのかもしれません。

審査請求前置主義があった理由とは?

審査請求の前置主義って、今はもう廃止されてますよね。

でも、昔はどうして「前置主義」だったんでしょうか?

実はこの点、全国市長会の資料にヒントがあります。

そこでは「国民が権利救済の手段を自由に選べるようにするべき」として、前置制度の見直しが提言されていました。

つまり、前置された審査請求が本当に役に立っているのか、運用が効率的かを見直し、不服申立ての自由選択を確保する方向で制度改正が行われたのです。

訴訟を起こす側にとって、審査請求って正直…時間も手間もかかって大変ですよね。

意味あるんでしょうか?

たしかに、その通りです。

審査請求には時間も労力もかかります。

ですが、建築基準法がつくられた昭和中期の当時は、建築をめぐるトラブルが多発していました。

そのため、いきなり訴訟に進むよりも、まず専門的な判断機関である建築審査会で解決を試みるという考え方が主流でした。

つまり、前置主義には「訴訟の前に、専門的な知見で整理・調整する」役割が期待されていたのです。

建築基準法が審査請求前置主義を採用した理由は、同法にもとづく処分が大量に行われること建築審査会という専門の第三者的審査機関が設けられている以上、その判断を求めることが事案の迅速な処理と訴訟経済の観点から適切であると考えられたからである(神戸地判昭五五・四・一五判時九八四・五五)。

引用:新建築基準法50講

行政不服審査法は、行政事件訴訟法とは異なり、「簡易かつ迅速に国民の権利救済を図る」ことを目的としていました。

訴訟よりも手続きが身近で柔軟な制度として位置づけられていたのです。

こうした背景をふまえると、当時の前置主義にも一定の合理性があったといえるでしょう。

行政に携わった経験を踏まえて

ここでは、行政実務に携わった経験をふまえ、現場で得られた知見や気づきをご紹介します。

行政不服審査法と建築基準法の審査請求の制度に違いはありますか?

大きな違いは、行政不服審査法が「書面主義」なのに対し、建築基準法は「公開による口頭審査」が義務付けられている点です。

そのため、口頭で適切に意見を述べる必要があります。

まとめ

行政不服審査法は、簡易かつ迅速な救済を目的とした制度

かつての前置主義には、訴訟回避と専門的判断を重視する背景があった

現在は自由選択主義が重視され、前置主義は廃止された

この記事を書いた人
ほぅちゃん

元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。

運営者情報を見る

この記事の流れ