
日影規制はなぜ2階建てには適用されないの?
参考文献はある?
この疑問をスッキリ解決!
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日影規制は中高層建築物を対象にしており、2階建ての低層建築物は規制の対象外
当時の文献では低層住宅への規制強化は実効性が乏しいといった見解が示されている
昭和53年の文献をもとに解説します



この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人


元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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日影規制の対象となる規模とは?



用途地域別に対象となる建築物を整理しました。
| 用途地域 | 制限を受ける建築物 | 測定面の高さ |
|---|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 など | 軒の高さが7m超え または 階数3以上 | 1.5m |
| 第一種中高層住居専用地域 など | 高さが10m超え | 4m または 6.5m |
| 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 近隣商業地域 準工業地域 | 高さが10m超え | 4mまたは 6.5m |
| 用途地域の指定なし | 軒の高さが7m超え または 階数3以上 | 1.5m |
| 高さが10m超え | 4m |



3階建てや高さが10mを超える建物が対象なんですね。
そのため、2階建ては一般的に対象外になりますね。



軒高が7mを超える2階建ては、第一種低層住居専用地域で対象となります。
ただし、通常の設計では軒高が7mを超えることは稀です。
そのため2階建てが日影規制の対象となることはほとんどありません。
なぜ2階建ては対象にならない?





日影規制の制定時期の文献には、次のように記されています。
そして、この日影規制は、中高層の建築物に対する規制を目的としたもので、 2階建程度の低層建築物には適用されないものです。
それは、住宅敷地が非常に小さいものが多い現状からみて、低層住宅間の日照確保は、現在以上に公法規制を強めても、実際上の効果が期し難いと考えられたためです。
引用:だれにもわかる日影規制とその対策 オーム社



低層住宅街でも、日照を確保する必要があると思います。



立法の趣旨が「中高層建築物の制限」であったため、文献の記述から、当時の制度設計では2階建てを日影規制の対象とする想定は薄かったことが考えられます。
さらに、低層住宅街は第一種低層住居専用地域が多く、北側斜線制限が影響しているのも一因です。
(北側斜線制限は日照確保を目的としており、日影規制と目的が重なります)



北側斜線であれば、日照は確保できるのでしょうか。
そのようには思いません。



文献では次のように説明されていますが、現代の住宅事情を考慮すると、違和感を覚えるかもしれません。
この北側斜線制限は日照確保のため北側の高さを制限しようとしたものであるが、北側斜線制限は日照を100%確保できるというものではなく、北側の者も南側にある程度庭をとり、日照をみずから確保することに努力するというのが建前であった。
この北側斜線制限の考え方を図をもって説明すると図-3.10ようになる。当時、東京における敷地面積の平均が80m²であり、そこに建築物(住宅) の平均である2階建て延べ面積 50m²の建築物を建てると仮定する。
南側に 80m²の敷地があり、延べ面積50m²の建物があるとし、その北側に同じく80m²の所に延べ面積50m²の2階建を建てたとすれば、冬至の日において北側の2階部分には4時間の日照が確保されることになり、1階部分にもある程度の日照が確保されるだろうと考えたのである。
引用:『建築法規の変遷とその背景 明治から現在まで』 鹿島出版会
行政に携わった経験を踏まえて



2階建ての場合は、いくら日影を落としても良いってしょうか?



日照配慮を目的とした制限として、北側斜線制限があり、そのため低層住宅街の2階建ては日影規制の対象にはならないようです。
実際、第一種中高層住居専用地域に日影規制がある場合、北側斜線制限は適用されません。
(逆に、日影規制がない第一種中高層住居専用地域では、北側斜線制限が適用されます)



隣が2階建ての住宅を建築中ですが、軒高7m超えるか知りたいです



建築計画概要書に軒高が記載されていますので、参考にできます。
一般的な戸建て住宅では軒高が7mを超えるケースは非常に少ないです。
まとめ
日影規制は中高層建築物を対象
2階建ての低層建築物は規制の対象外
また、規制の効果が薄い点も理由の一つ
元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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