
東京都内は日影規制の北緯の数値が共通って本当?
なんで統一されてるの?
根拠になる資料があれば知りたい!
この疑問をスッキリ解決!
💡ズバリ、結論はこちら!
東京都内の緯度は、北緯36度で統一されています。
「東京都建築安全条例とその解説」という書籍にも明記されており、実務ではこの数値が基準です。



この記事の最後に、これまで行政の現場で携わった経験から得た学びや気づきを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を書いた人


元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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日影規制に影響する「北緯」って何?
日影図では、北緯の値で影の長さが変わります。
北緯が高いほど影が長くなり、設計条件が厳しくなります。
だからこそ、設計前に北緯の数値をチェックするのが重要です。



日影図の設定に「北緯」ってありますよね。
この数値だけで、影の長さが変わるんですか?



北緯が高いと、太陽が低くなって影が長くなります。
逆に、南の地域は影が短めです。
影が長いと、規制に引っかかる可能性が高くなります。
だから、設計者にとって北緯の数値は本当に重要なんです。
東京都や23区の日影図は何度で作る?
東京都内では、日影図は北緯36度で統一して運用されています。



東京都や23区は建築基準法や安全条例の取扱いがバラバラです。
でも北緯36度だけ共通なんですね。



「東京都建築安全条例とその解説」という文献で、北緯36度と明記されています。
そのため、実務でもこの数値が共通の基準として使われています。


なぜ東京都は36度を基準にしたのか?
東京都の位置はおおむね北緯35度30分~35度50分にあります。
このため、実務では運用を統一する目的で36度と設定されています。



36度って、埼玉県鴻巣市や茨城の取手市あたりですよね。
奥多摩は少し北ですが、23区は35度50分より南です。
ちょっと厳しすぎる気がします。



たしかに、地図で見ると23区と北緯36度の位置はかなり離れています。
その距離感は無視できないほどです。
この点については、「東京都建築安全条例とその解説」にも次のように書かれています。





たしかに、地図を見ると距離があるため、36度は厳しすぎると感じるかもしれません。
でも、書籍のとおりに日影図を描いてみると、実際には妥当な基準とのことです。
ちなみに、これに加えて等時間日影図で3〜5分の余裕(クリアランス)を求める行政庁もあります。
これは、日差し曲線メジャーで厳密に審査しているためです。
もともと昭和53年の東京都通達(確認申請用添付図書作成要領)では、日影図の作成方法は示されていましたが、北緯の具体的な数値には触れられていません。
その後、明確な基準として文献に登場したのは、「東京都建築安全条例とその解説」からと考えられます。
行政庁ごとの違いを確認しよう!



ここでは、行政庁ごとの取り扱いを簡単に整理して紹介します。
多くの行政庁では、北緯の数値に関する取扱いは定めていません。
そのため、実務では「東京都建築安全条例とその解説」に記載された北緯36度を基準として扱うケースが一般的です。
| 行政庁 | 北緯の取扱い |
|---|---|
| 東京都 | ― |
| 足立区 | ― |
| 荒川区 P.6/14 | 〇 (1)日影図の作成における北緯は、36°00’を基準とする。 (2)方位(真北)の測定における東経は、原則として139°47’とする。 |
| 板橋区 | ― |
| 江戸川区 | ― |
| 大田区 | ― |
| 葛飾区 | ― |
| 北区 | ― |
| 江東区 | ― |
| 品川区 | 〇 ・日影の検討をする際の緯度と経度は、「現地測量し、敷地の最も北側の位置」もしくは「北緯36°、東経139°45′」とする。 ・日影の検討をする際のクリアランスは、3分程度とする |
| 渋谷区 | 〇 ・渋谷区役所は北緯35度39分ですが、日影図を作成する場合は北緯36度にて作図して下さい。 |
| 新宿区 | ― ※中高層条例の日影図の北緯・東経の取扱いのみ公開 |
| 杉並区 | ― |
| 墨田区 | ― |
| 世田谷区 | ― |
| 台東区 | ― |
| 千代田区 | ― |
| 中央区 | ― |
| 豊島区 | ― |
| 中野区 | ― |
| 練馬区 | 〇 ・基準緯度・経度について 緯度は36°00’または実測値、経度は実測値を基本とする。 ※日影の検討にあたっては5分以上のクリアランスを設けること。 |
| 文京区 | ― |
| 港区 | 〇 ・日影図の作成について 北緯36度00分を基準として作成してください。 また、真北を測定する場合の北緯と東経は、下記のとおりです。(港区内統一) 北緯:35度39分29.1秒 東経:139度44分28.88秒 |
| 目黒区 | ― |
| 八王子市 | ― |
| 町田市 | 〇 日影図作成に関する注意事項 ・町田市の位置 東経 139度27分 北緯 35度33分 ・日影図作成の際は、北緯36度における日影を基準として作成してください。 |



品川区と練馬区では、北緯の設定について実測値の使用を認めています。
他の行政庁とは異なり、より計画地に即した柔軟な対応を可能としています。
行政に携わった経験を踏まえて



北緯36度って、絶対に従わないといけないんですか?



行政庁や指定確認検査機関に事前相談しても、たいてい「北緯36度で検討してください」と案内されます。
もし別の緯度で日影図を提出すると「36度の設定にしてください」と修正を求められる可能性が非常に高いです。
ただし、品川区や練馬区のように実測値を認めている行政庁であれば、その限りではありません。
その場合も、北緯の設定根拠の資料提出が求められる点には注意が必要です。
実測値で通したい人へ。筆者が伝えたい現実
実測値での申請は原則として難しい
審査側としては、本来であれば敷地の実際の北緯で確認済証を交付すべきと考えますが、書籍で北緯36度と明確に示されている以上、それに反して設計者側が実測値での対応を強く求めるのは、現実的とはいえません。
実測値での申請は負担が大きい
なお、実測値の北緯とした場合、等時間日影図で数分のクリアランスを求められたり、検査時に屋上手すりの位置や寸法が図面と一致しているか、厳密に確認されるなど、設計者・審査者ともに負担が大きくなります。
中には、建築物の各部から真北の敷地境界線までの距離を配置図に複数記載させ、検査時に測量機器で確認する審査者もいます。
北緯36度での設計が無難な理由
そのため、書籍のとおり安全側である北緯36度で検討する方が、現実的かつ無難といえるでしょう(審査や検査もスムーズに進みやすくなります)。
施工誤差も考慮し、適切なクリアランスを確保しておかないと、完成後に日影規制に抵触していたことが発覚するリスクがあり、これは最も避けなければならない事態です。
まとめ
東京都では日影規制の緯度を「北緯36度」で統一運用している
「東京都建築安全条例とその解説」に明記されており実務でも基準とされている
実測値での提出も可能な行政庁はあるが、原則は36度での設計が無難
元政令市職員(行政庁) × 確認検査機関の経験者である一級建築士・建築基準適合判定資格者。
建築基準法を中心に、関連する行政法や民法の仕組みも含めて、横断的にわかりやすく解説しています。
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